JNNの記者のもとに「北海道警察本部の警察官」をかたる人物から電話が掛かってきました。
騙されたふりをした記者と電話口の人物とのやり取りから見えてきたのは特殊詐欺の巧妙な手口です。

JNNの記者にかかってきた1本の電話。

画面には「+1800(いちはちぜろぜろ)」。

国際電話の番号で特殊詐欺に使われることが多いことを知る記者は、とっさに本名ではなく「吉田」を名乗って通話を始めました。
「騙されたふり」作戦です。

男の声
「第三者が吉田様の個人情報を利用して虚偽の病状申告そして保険金申請、こういったものが行われた可能性が非常に高い」

相手は「金融庁の職員」をかたる人物。

「市立札幌病院」の名前を出し、「168万5800円が保険請求された。このまま北海道警察本部に電話をつなぐ」と柔らかい口調で話します。
記者が待っていると…

男の声
「はい、北海道警察本部緊急ダイヤルです。どうされましたか?」

電話口は「道警本部」の警察官を名乗る人物に代わりました。記者が「使っていない医療費が請求された」と相談すると…

男の声
「これは犯罪に使われている。こういった口座だとかクレジットカード。ね、そういったものを銀行口座に対して、国の決まりとしてですね、凍結させていただくようになります。そうなるとやはり吉田さんは困ってしまいますよね」

その上で「警察官」は通信アプリ「LINE」のアカウントを尋ねてきて記者が教えると…

警察官をかたる男
「どうぞもしもし」

ビデオ通話の画面には警察の制服姿の男。
「警察手帳」を示します。

警察をかたる男
「もしもし!私の声聞こえてますか?」(記者)「はい大丈夫です」(男)「私、北海道警察本部のサヤマといいます」

ここで突然、通話が切れました。
「騙されたふり」をされていることを察したか、相手のアカウントも消えました。

記者は、この一部始終を録画・録音し警察に届け出ました。

北海道警察によりますと、9月末までに北海道内で発生した警察官をかたる特殊詐欺の被害額は、約13億9000万円。
これは特殊詐欺全体の被害額の8割以上です。

すべて実在する機関や施設の名前を挙げ、寄り添った口調で相手を信用させる巧妙な手口。
名前を使われた本当の道警本部は、「警察官がSNSを使って連絡することはない」と注意を呼びかけています。







