突然の「先送り」決定。札幌のオリンピック招致への影響とは?

 スイス・ローザンヌの国際オリンピック委員会。この秋までは、5日に始まった理事会で、札幌が、2030年の冬季オリンピックの開催地に事実上内定するはずでした。
 しかし…。

IOC クリストフ・デュビ 五輪統括部長
「これは我々が2030冬季五輪のホストの選挙を140回目のセッション(インド)ではターゲットにしない事を意味します」

 開催地選びの先送り。
 背景にあるのは、先月25日に独占禁止法違反の疑いで強制捜査が始まった東京オリンピックをめぐる談合事件です。
 元理事など15人が起訴された「汚職」に続くオリンピックの不祥事です。

20代男性(賛成)
「海外からたくさん人が来て、日本経済が発展するなら全然いいと思う。(オリンピックは)見れるなら見たい」
50代女性(反対)
「反対かなやっぱり。物価がすごく高いのと子どもたちがこれから生きていく上での負担が多すぎるから」

 「どうなる?札幌オリンピック招致」を、もうひとホリします。

 7日午後の札幌市議会です。

札幌市議会 池田由美 議員(共産党)
「2030年への招致活動という歩みを一旦中断すべきだと考えますが、いかがか?」
札幌市 秋元克広 市長
「札幌市としても、このプロジェクトチームに積極的に参画をし、クリーンで新しい形のオリンピック・パラリンピックについて検討をすすめつつ、その内容を市民に丁寧に説明をし、理解促進に努めていく考えであります」

 これは、東京大会組織委員会の2018年度の調達案件の一覧表。
 組織委員会は、オリンピック本大会の前に行う「テスト大会」について26の会場ごとの計画立案などの業務の入札を行いました。
 「電通」「博報堂」など広告会社とイベント会社「9社と1共同事業体」が落札。契約額の総額は5億円あまりに達しました。
 落札業者は、その後、入札を伴わない随意契約で、テスト大会の実施運営や本大会の運営業務などを受注し、総額は、およそ200億円にのぼります。
 東京地検特捜部と公正取引委員会は、不正な受注調整が行われた疑いがあるとみて入札の実態解明を進めているとみられています。
 東京大会をめぐる捜査が続く中、この日、組織委員会の橋本聖子元会長が札幌招致への影響について初めて言及しました。

東京大会組織委 橋本聖子 元会長
「非常に厳しい。(事件が)1日も早く解明されて、そして新たな札幌誘致のスタートが切れるようにしなければいけないのではないか。現状は厳しいと思っている」

 一方、鈴木知事は…。

北海道 鈴木直道 知事
「北海道、札幌市もサッカー、マラソン、競歩競技が開催された地でありますので、この大会に協力してきたわれわれとしても、そういった疑いということでありますので、大変残念でございます。影響を生じることへの懸念の声がある。いずれにしても、今後の動向を注視していく必要がある」
堀内大輝キャスター
「オリンピックの招致に賛成なのか反対なのか、いまの街の声を聞いてみます」
30代女性(反対)
「実家が東京なので(東京オリンピック時に)直接税金を払ってるから、いろいろゴタゴタを見ちゃうと、(招致は)どうなんだろうなと」
40代女性(賛成)
「日本でオリンピックができるのはいいと思うけど、クリーンな感じでできればいいかな」
70代女性(賛成)
「あんまり市のお金を使わないで、やるのであれば賛成」
堀内大輝キャスター
「50人に聞いたところ賛成22人・反対28人という結果になりました。はっきり賛成・反対と答える人よりも迷いながら賛成・反対と答える人が多かった印象です」

 札幌市が招致を目指す2030年の大会。
 IOCのクリストフ・デュビオリンピック統括部長は、6日、来年秋ごろの予定だった「開催地の正式決定」を先送りすることを明らかにしました。その理由は…。

IOC クリストフ・デュビ 五輪統括部長
「あらゆる優先事項の中でも、冬の気候変動の影響に関する予備的な学術研究の結果は、将来気候において信頼できる。開催地の数が減少する可能性を示した。これらの委員会がすべての要因を研究し、将来のホスト国について可能な限り最善の決定をするため、より多くの時間を必要とする決定」

 オリンピックの歴史に詳しい専門家は、開催地決定の先送りにIOCの札幌への期待の大きさがにじみ出ていると話します。

日本財団アドバイザー・尚美学園大学スポーツマネジメント学部 佐野慎輔 教授
「札幌は本当に有力候補なんです。IOCはカードとして放したくないカード。『もう少し時間を延ばすからきちんとやりなさい』ということだと思う。IOCがJOCとかスポーツ界に対して『何をやっているんだ』と、ここをきちんとやらないとだめだよと、ある意味最後通牒ではないか」

 2030年の候補地に立候補しているのは、札幌のほかにアメリカのソルトレークシティーとカナダのバンクーバー。
 IOCは、先送りによる準備期間の短縮は3都市とも問題がないとした上で、2030年と34年の開催地選びを同時に進める案も検討しています。


12月7日(水)「今日ドキッ!」午後6時台