■元裁判官の内田健太弁護士「殺人ほう助が認定できないとなった時点で…」
・内田健太弁護士
人の命が奪われた状況で執行猶予というのは、いろんな意見があると思います。殺人のほう助が認定できないとなった時点で、死体遺棄、死体損壊だけだと法定刑が下がってしまいます。求刑の10年というのは殺人のほう助が前提でしたので、今の法律の枠組みの中では、妥当な判決だと思います。
■修被告が問われた「ほう助の罪と判決」

「殺人ほう助」は認定されず
⇒瑠奈被告が何らかの犯罪に及ぶ可能性を認識していたとしても、殺害に及ぶとまで認識していたとはいえない
「死体遺棄ほう助」は認定
⇒浴室を隠し場所として提供し、死体遺棄を容認
「死体損壊ほう助」は認定
⇒瑠奈被告の損壊の意思を高め、心理的に助けた
■「まさか殺害に及ぶとまで思っていなかった」という核心部分を否定する事情認められず
・内田健太弁護士
判決要旨をみると、修被告の供述を全部信用しているわけではありません。一部信用できないところもあると言っています。ただ核心部分の「まさか殺害に及ぶとまで思っていなかった」という部分について信用性を否定する事情が認められなかったのがポイントと思っています。
■修被告は精神科医師「職業としての立場よりも親としての位置づけを重視した判決」
・内田健太弁護士
普通、娘からノコギリを買ってと言われたら「何に使うんだ」と確認するのが普通ですが、この田村親子の関係を前提にすると刺激しないために何も言わずに買うことはありうるだろう。
精神科医ということで、もう少しやることはあるのではないかと言う考えもわかりますが、職業としての立ち場よりも親としての位置づけを重視した判決といえます。
■浩子被告と瑠奈被告の裁判への影響
死体遺棄と損壊をほう助した罪に問われている母親の浩子被告の裁判は、来週17日(月)の予定で論告求刑と最終弁論が行われます。
また主犯格とされる、瑠奈被告は2回目の精神鑑定中で、初公判のめどはたっていません。
・内田健太弁護士
浩子被告に関しては、自分より積極的に関与した修被告にさえ共犯が成立しないのだから、当然自分にも犯罪は成立しないと主張してきました。しかし今回、修被告が有罪となったことで、その前提が崩れました。無罪を争う中で、かなり大きなハードルになると思います。
瑠奈被告については、単独で自分で計画を立てて実行したということになっていますので、有罪となった場合には量刑を重くする事情が認定されたと思います。
ただ瑠奈被告については、責任能力が争点となると思いますので、どこがポイントなのかこれから整理していくことになると思います。
■検察は上級庁と協議
札幌地検は「検察官の主張が受け入れられなかったことは残念」とし、今後の対応について上級庁と協議するとしています。また、修被告の弁護側も控訴するかは修被告・浩子被告と話し合って決めていくということです。
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