■懲役刑、禁固刑を廃止し『拘禁刑』へ

きっかけは、今年6月に控えた『拘禁刑』の導入です。

これまでの懲役刑禁固刑を廃止し、再犯防止に向けて、受刑者の特性に応じた指導を可能にします。

刑務官
「受刑者の行動や考え方も変わってくるのかなと思っているので、厳しさの中に、やはり、彼らの声に耳を傾けるっていうのが必要になってきたのかな…」


受刑者
「自分は社交不安症という障害を持っていまして、刑務所と社会だと、何か壁がある感じがあって」


『拘禁刑』の導入に先駆けて、去年2月、月形刑務所では、高齢や障害など、身体的、精神的にハンディキャップを抱えた受刑者を対象とした工場を作りました。

■刑務作業から立ち直りの場へ

最大の特徴は、刑務作業の合間に行われる“グループミーティング”です。

刑務官
「会社に到着したら、上司は聞くよね。“どうしたんだ、なんで遅刻したんだ”と聞かれたときに、あなただったら、どういうふうに、その上司に対応しますか?ということを話し合ってほしいと思います」


“人助けをしていたら、電車に乗り遅れ、会社に遅刻してしまった―”

その場合、上司にどう報告するのか?出所後に起こり得るトラブルを想定し、受刑者同士で対策を話し合います。

受刑者C
「最初に“困っている人が居たから助けた”ということをまずは言って」


受刑者A
「それは、素直な気持ちだからね」


受刑者C
「次の電車でも間に合うだろうと思っていたけど“その次の電車が遅れたので遅刻しました…すみません”と」


受刑者B
「ありのままを言うってこと?」


グループで話し合ったことをまとめ、全体の前で発表します。

受刑者
「自分もそうなんですけれど、(グループ内で)一緒に話した人も、困っている人が居たらいたら、ほっとけないっていうのがあって」


刑務官
「これを経験したからといって、次から困っている人がいても無視しようっていう考えにはならない。何度遅刻しても、私は助ける、なるほど、そういうのも大事かもしれないね」


狙いは社会に定着してもらうこと。これまで刑務作業に費やしていた時間を“立ち直り”のための指導にあてる―。

刑務所の環境は、大きく変わりつつあります。

刑務官
「今までちょっと敵意や、少し引いて見ていた受刑者たちが、少し心を開いてくれるような面も感じたので、私たちは、刑務所の中でしか彼らと接することがないので、一般社会に出たときは、一般社会の方々の力がどうしても必要になるのかなと」


「外の世界の人にも、刑務所のことを理解していただいて、協力していただければ…」

過ちを犯した人が、立ち直ることができる社会にするために、私たちにも変化が必要なのかもしれません。