◇《コロナ禍で変化を強いられた人生》
今では、すっかり人気者のシェルパさん。日本にやって来たきっかけは、世界を揺るがせた、あの出来事です。
世界各地のマチから人の姿や賑わいが消えた、新型コロナウイルスの感染拡大。
当時、シェルパさんは、ネパールの首都カトマンズで飲食店を営んでいました。しかし、外出制限によって、店は営業が困難となり、やむなく店を手放すことになりました。
ネパール人 シェルパ・ラクパさん(40)
「コロナ禍のとき、3か月ぐらい店を開けるのが駄目になったとき、暇な時間に日本語を勉強して、オンラインで自分で勉強して、試験を受けてきました」
◇《労働力不足の解消を狙った“特定技能制度”》
シェルパさんをはじめ、清峰園の外国人介護士は“特定技能1号”として働いています。
“特定技能制度”は、2019年に始まった在留資格で、日本に滞在するための資格です。
1号は介護など16の分野で、最長5年間、日本で働くことができます。
似た言葉の“技能実習”は、日本で修得した技術を母国に持ち帰る制度です。
一方“特定技能”は、日本の労働力不足を解消し、人手を確保する制度で、中身は、まったくの別物なのです。

ネパール人 シェルパ・ラクパさん(40)
「娘が留学に行く前の写真なので、だいたい2年前に撮ったもの。赤い服がお姉ちゃんで、青い服が妹です」
シェルパさんの長女はいま、ITの勉強のため、カナダに留学しています。19歳の次女は、看護師になるため、ネパールで勉強中。
2人を応援するため、シェルパさんは、母国から遠く離れた名寄のマチで頑張っています。
週に1度、シェルパさんが楽しみにしている家族との時間。
スマホを使ったテレビ電話でやり取りします。近く、試験があるネパールにいる次女の様子が気になります。
ネパール人 シェルパ・ラクパさん(40)
「カナダにいる長女にも連絡したかったが、いまは寝る時間の午前2時ぐらいになってしまったので、時間が合わなかった。次女と話せてうれしかった」
地方にとって、貴重な労働力の“特定技能外国人”。
名寄市も、おととしから、シェルパさんのようなネパール人の受け入れを本格化させています。背景に、介護の人手不足があります。
名寄市では今後、高齢化が進む一方、働き手の労働人口が減少し、介護の担い手が足りなくなると予想しているのです。
名寄市 総合政策部 藤井智さん
「外国から来た彼女、彼らが介護の仕事をしてくれることで、介護の職場においてネパール人が、十分に活躍できると確認できてよかったです」