■19歳の学生が目指す“オール北海道ワイン”
小島さんが発表したのは、北海道産のミズナラを使った洋酒樽づくり「洋酒樽プロジェクト」です。

森が大好きで、大学の森林研究会に所属する小島さんは、これまで北海道の林業の現実を目の当たりにした際、悔しさを感じたといいます。

・北海道大学農学部2年 小島颯太さん(19)
「価値ある北海道の森が、なかなかお金になっていないという問題を実感しました」

林業の価値をもっと高めることはできないか?林業をもっと身近な生活に溶け込んだものとリンクさせ、林業を活気づけることができないか?

考え抜いた結果が“洋酒樽”の製作でした。

・北海道大学農学部2年 小島颯太さん(19)
「北海道で“洋酒樽”を作れれば、ただ作る以上の意味があります。ワイン産業が北海道だけで完結するわけです。我々が『最後のピース』を埋めたい。そうすれば、ブドウづくり、森づくり、1次産業から3次産業まですべてひっくるめた起爆剤になり得るんです!」

小島さんが目指すのは、北海道産のブドウで造ったワインを北海道のミズナラで作った“洋酒樽”で熟成させる“オール北海道ワイン”の実現です。

実は、日本で製作している“洋酒樽”は京都に本社を置く専門メーカー1社のみ。日本に存在する“洋酒樽”の95%以上が輸入に頼っている現状に、小島さんは商機を見出しました。

さらに、北海道に自生するミズナラはいま、樽を利用するワイナリーやウイスキーの蒸留所から高い評価を得ていて、1樽20万円ほどの相場が、45万円の高値で取引されていることに着目しました。

・北海道大学農学部2年 小島颯太さん(19)
はじめはトンカチとホームセンターの木材で樽を作るところから始まりました。今年4月から洋酒樽を作り始めて、やっと水漏れしない実用できる樽ができました。もうすぐ、僕たちの作った樽に初めてお酒が入ります。いまやっとスタートラインに立ったわけですが、これからはこの文化を“熟成”させて、世界に広めていきたいんです」