「晴れた日にも来れるようになった」動物園の休園日入園許可制度

愛知県豊橋市の「のんほいパーク」でもセンサリーフレンドリーの取り組みが行われています。休園日には、雑踏の喧噪も、案内の放送も音楽もなく、静まりかえった園内。時折聞こえてくるのは、動物たちの息づかいだけです。
そこに、やってきた1組の親子。豊橋市に住む花島愛弥さんと母親の恵里さんです。愛弥さんは知的障害を伴う自閉症で、聴覚過敏のため外出の際にはいつもイヤーマフで耳をふさいでいます。
(母・恵里さん)
「小さな子どもの泣き声が苦手で、泣き声が聞こえるとパニックに以前はなっていたが、大人になるうちに予想ができるようになって。ベビーカーを見ただけや、まだ泣いていない子どもを見ただけで落ち着かなくなる」
動物は好きですが、動物園のにぎやかさが苦手で、今までは雨降りなど、人がほとんどいない日を選んで来園していました。しかし、「のんほいパーク」が始めたセンサリーフレンドリーの取り組みのおかげで、晴れた日にも来られるようになったといいます。
(のんほいパーク・後藤一紀さん)
「週に1度の休園日だったら静かな環境で動物園を楽しんでいただけると思い、この休園日の特別入園の取り組みを始めた」
「のんほいパーク」の“休園日入園許可制度”は、2020年から登録した感覚過敏の人向けに、休園日の毎週月曜日を解放しています。
「何よりのぜいたく」感覚過敏の親子が気兼ねなく楽しめる時間

母親の恵里さんは感覚過敏への理解が進まない中、外出をためらうことも多かったと話します。
(母・恵里さん)
「他の方たちにご迷惑をおかけしちゃいけないって気持ちは私たちも持ってるし、『何でこんな子連れて歩くんだ』と怒られたことも1度や2度じゃない」
休園日入園許可制度に登録している人は現在100人近くいて、愛弥さんも毎月2回程度静かな園内を散策したり、ゾウやキリンを見ながらランチを楽しんだりしています。
(母・恵里さん)
「この制度は、私たちが今まで味わえなかった子育てのゆとりみたいなものを(子どもと親)両方に与えてくれた、すごい制度」
動物を見ながら手をヒラヒラさせる愛弥さん。嬉しいときにする仕草です。愛弥さんは動物を見る度に手をヒラヒラ、とても楽しそうです。
(母・恵里さん)
「一番良かったのは、本人と私たち保護者が、のんびりゆったりと楽しむことができるところが、何よりのぜいたく」
広がるセン“サリーフレンドリー”の取り組み。それは、誰にとっても暮らしやすい社会づくりに他なりません。
CBCテレビ「チャント!」1月23日放送より