ライバル企業の商品を積むドライバーと鍵交換 そのワケは“中継輸送”

(トラックドライバー 成田由和さん)
「お疲れ様です。こちらの鍵です」

別のトラックのドライバーと車の鍵を交換し、トラックを乗り換えます。
これは一体…

(トラックドライバー 成田由和さん)
「関東から来た車に乗り換えて僕は中部の方に帰ります」

鍵を交換した相手は、なんと日清製粉ウェルナのライバル企業「カゴメ」の商品を積んだドライバー。トラックの荷台には、茨城県から愛知県に運ぶ食品が積まれています。

名古屋市と茨城県から出発した2社のトラックが、中間地点の静岡市で合流。ドライバーだけを「スイッチ」して荷物は300キロ先に運ぶ「中継輸送」が行われているのです。

(トラックドライバー 成田由和さん)
「家族がいたら家族の時間も増えるしお風呂も入れる、ベッドで寝れる、家に帰れる、メリットは僕個人としても結構あります」

6月からこの取り組みを始めたのは、カゴメ、日清製粉ウェルナ、味の素、ハウス食品、日清オイリオグループの大手食品会社5社の出資で発足した物流会社「F―LINE」。

(F―LINE 浦澤真司 輸送企画部長)
「1社でできることに限界を感じて、同じ業種・業界が集まって取り組むことが推進力になる。」

物流業界は、2024年ドライバーの時間外労働に上限が設定されることで、荷物の数に対して人手が足りなくなる「2024年問題」に直面しています。

国も、ドライバーに過酷な働き方を強制する企業などを監視するため全国に「トラックGメン」約160人を配備。国を挙げて2024年問題への対応にあたっていますが、今回のライバル企業同士のタッグもドライバーの負担軽減のために編み出した秘策です。

(日清製粉ウェルナ 贄田隆正 主査)
「共働き世帯も増えて、育児・家事を分担する方も増えている。毎日家に帰れるというのがニーズとしてある」

モノが運べなくなることで、これまで私たちのもとに当たり前に届いていたものが届かなくなる。その危機に対処するため今それぞれの企業が大幅な「働き方改革」を迫られています。

(日清製粉ウェルナ 贄田隆正 主査)
「モノが運べなくなることは企業存続の危機。業種・業界の垣根を超えた取り組みが今後は重要になる」