妻の遺影を胸に「元気なうちはこうやって通おうと思っとる」

妻の遺影を胸に踊りを見つめる、愛知県愛西市の柴田勝さん、77歳です。

去年6月、妻の恵美子さんを病気で亡くしました。35年間、夫婦で参加していた郡上おどり。

(柴田勝さん)
「『(中止の年)今年は郡上おどりがないでな』と言って、(妻が)うちで1人で踊っていた。郡上おどりは、俺のおっかあにしたら一番大事だったから、(自分が)元気なうちは、こうやって通おうと思っとる」

「本当に自慢のおじいちゃんでした」

そしてもう1人。郡上市に住む西村祐希さん、27歳。

(西村祐希さん)
Qおじいちゃんはどこにいた?
「あの白髪の人がいる所にいました。もう亡くなったので上れないですけれど、ずっと歌っていましたね」


西村さんの祖父、後藤直弘さんは今年5月、天国に。50年以上、郡上おどりのお囃子を担当していました。


生前の後藤さんは、こう話していました。

(3年前の後藤直弘さん)
「日常の習慣が全く抜けてしまった」

開催中止になった3年前、後藤さんは踊りを絶やしてはならないと、無料のライブ配信に挑戦しました。


しかし、完全復活を前に病で帰らぬ人に。享年85。

(後藤さんの孫 西村祐希さん)
「郡上おどりが通常開催できることは喜ばしいことだし、夏が戻ってきたなという感じだけれど、おじいちゃんがいないのは、心に穴が空いたような物寂しさ。本当に誇らしかったです。本当に自慢のおじいちゃんでした」


響き渡る下駄の音と、唄と三味線と…。“郡上の夏”が、戻ってきました。

おどり収めは9月9日です。