出動指令が鳴り響き、直ちに現場へ。向かう先は常に命の危険と隣り合わせの火災現場。最前線で命を守る「特別消防隊」に密着しました。
名古屋市では冬から春にかけてのこの時期、1か月の火災件数が50件を超えています。空気が乾燥しているため火災件数が増えるだけでなく、火が燃え広がりやすく、被害が拡大する恐れがあるのです。
「体力を最大限に追い込む」人々の命を守る特殊な訓練

名古屋市中川区の、特別消防隊・第一方面隊。5人1組のチームで24時間勤務を1日おきに行っています。震災や、超高層ビル、地下街などより危険な場所での災害救助に対応する「特別消防隊」。別名ハイパーレスキューとも呼ばれ、常に災害を想定した訓練を行っています。
(第一方面隊・片岡海里 隊員)
「高所をロープで渡ることで緊張感を持ち、自分の体力を最大限に追い込む。体力を最大限に追い込んだ状況で、確実に操作ができるように。救助現場でもそれが活用できるように訓練をしています」

特別消防隊は「災害派遣」も任務の1つで、地震で建物が倒壊した想定で、がれきに埋もれた人の捜索など、特殊な訓練も日々行っています。
東日本大震災や御嶽山の噴火、熱海の大規模土石流の現場にも派遣されていました。
隊員のヘルメットカメラがとらえた現場映像!

2023年3月14日、午前8時半。119番通報で出動指令が出ました。発生場所を確認し、現場に向かいます。
(隊員)
「黒煙を確認。5階より黒煙を確認した」
出火場所は、中川区の5階建てアパートの最上階。現場には、視界を奪われるほどの煙が立ち込めています。玄関からは中に入れず、隣の部屋のベランダから間仕切り板を蹴破って中へ。高熱でガラスが割れています。

(隊員)
「ベランダにはアクセスできました。ベランダから45(要救助者)の確認をします」
先着部隊が初期消火を終えたものの、部屋には煙が立ち込め、一部、火が残っているところも。視界が悪い中、人がいないかを確認します。

この部屋で一人暮らしをしていた男性は、出火当時、外出中だったため、けが人はいませんでした。しかし、部屋の大部分は完全に焼けました。スイッチを入れたままのコタツが火元となった可能性があるといいます。
(第一方面隊・堀川貴信 隊員)
「コタツがあった辺りがだいぶ燃えていた。電気製品を使ったら電源が切れているか、コンセントが抜けているかを確認することが大事」