愛知県では30人以上のウクライナ避難民が、新たな生活をスタートさせています。しかし…「日本語が分からない」、「就職先が見つからない」といった不安が、徐々に大きくなっているようです。

ウクライナの首都キーウから、4月9日、愛知県安城市に避難してきたルスランさん(38)と妻のリディア(35)さん。


3月初め、ロシア軍の空爆で2人の暮らす街も壊滅状態に。地下シェルターでの避難生活は2週間にも及び、国外へ避難するにも、どこに行けばいいのか途方に暮れていた時、手を差し伸べてくれたのが、遠く離れた安城市の葛西孝久さん(71)、不二恵さん(70)夫婦だったのです。

(葛西孝久さん)
「24日に『行ってもいいか』というメールをもらって、『いいですよ』と」


受け入れを決めた葛西孝久さんは、元社会科の教師。ウクライナのキーウに、妻の不二恵さんと共に移住して12年がたった3月20日に、安城市の実家に避難してきたばかりでした。

実は、ルスランさんは、キーウで不二恵さんの開いていた日本語教室の元教え子だったのです。

(キーウから避難したリディアさん)
「私たちに人生をくれた、セカンドチャンスをくれたので本当に感謝している」

(葛西不二恵さん)
「ルスランさん リディアさん 葛西、ご縁」



保証人となった葛西さんのおかげで、ルスランさん夫婦の県営住宅での新生活がスタートしました。しかし…

(キーウから避難したルスランさん)
「一番生活で困っているのは、日本語が理解できないことです」

4月24日。ルスランさん夫婦は、名古屋市が開いた『集いの場』に参加しました。日本人との会話はスマートフォンの翻訳機能を使いますが…

(会場の日本人)
Q.何がうれしかったですか?…むずかしいな



翻訳機能も万能ではありません。やりとりできないことがしばしば。そこで…

(葛西孝久さん)
「土曜日の日本語教室を希望しているウクライナの方なんですが…」

愛知県安城市でも、日本語教室に通うことにしました。そして、サポートする葛西さんの一番の気がかりは…

(葛西孝久さん)
「仕事で日本語ができない人を雇ってくれる会社があるかどうか…心苦しい」

ウクライナでは、ルスランさんは流通関係の会社の管理職、妻・リディアさんは会計士としてバリバリ仕事をこなしていましたが、今の状況だと仕事が見つかったとしても低賃金になると心配している葛西さん。

さらに、ルスランさんの持病は糖尿病。月3万円以上の医療費がかかります。

また、ウクライナに残った、高齢で働けない両親への仕送りもしたいと考えています。

(葛西孝久さん)
「いまから夏の服を買いに行きます。これは逃げてきたそのまま服ですから」

ルスランさん夫婦は名古屋市から支給された現金10万円で2か月振りの買い物に…

(キーウから避難したルスランさん)
「(買った服の色が)美しい、ウクライナの(青)色だから。いい店だった」


日本文化に憧れ、何不自由なく暮らしていた夫婦が突然背負った運命。

買い物ができるという幸せ…ふるさとキーウから8000キロ以上離れた安城市で改めて平和の尊さをかみしめています。

(キーウから避難したルスランさん)
「安全な日本に来られたので、2人でこれから一緒に働いて、頑張っていきたい気持ちです」