複雑な海流や地形に対応するのが難しく…事故多発

その理由を探るため南下すると、現れたのは五新線の「天辻トンネル」。鉄道が全線開通するまでの間、城戸まではバス専用道路として使用され、さらに大塔村(おおとうむら)阪本までの区間では工事が進められました。

そして昭和46年、長さ5キロの「天辻トンネル」が完成。トンネルの先に阪本駅を造る予定でしたが、未着手で鉄道計画自体が中止されました。

(道マニア・松村真人さん)
「道路も鉄道も“阪本を目指せ”だった。なぜなら、そこには川があり、昔は船で物を運んでいた」

かつて木材や鉱山などの資材は、紀伊半島沿いを船で運搬していました。しかし、紀伊半島の複雑な海流や地形に対応するのが難しく、事故が多発。この問題を解決するため、内陸部の川を通って阪本まで行き、陸路で天辻峠を越える方法が取られるように。これにより、安全に物資を運ぶことが可能になりました。

(道マニア・松村真人さん)
「林業の衰退、交通ルートの変化によって、船から鉄道や道路に変わり、道路が高規格化。輸送の方法が変われば、必要とされる要衝も移り変わっていく。道路を紐解くときに、道路だけ見ても分からないことがここには詰まっている」

CBCテレビ「道との遭遇」2025年2月18日(火)午後11時56分放送より