ロシアによるウクライナ侵攻が始まって、約8カ月。日本にもウクライナ避難民が暮らしています。2022年6月から愛知県安城市で避難生活を送っているヴァレリ・デルカッチさんと妻・オレーナさんと子どもたち3人の一家。「大丈夫」という言葉を支えに、平和が訪れる日を待ちわびています。4か月前からCBCテレビが取材を続けている一家のその後です。

生活のために夫婦でリノベーションの仕事を請け負うように


(ウクライナから避難・ヴァレリさん)
「(Q好きな日本語はありますか?)大丈夫」

ヴァレリ・デルカッチさんと妻・オレーナさん。「大丈夫と言えばどんな困難でも乗り越えられる気がする」と話します。

ある日、夫婦で仕事をするため、住宅リフォームの現場へ。ウクライナでは、建物の内装関係の仕事をしていたヴァレリさん。安城市でも地元の建築会社で働いていますが、それとは別に、9月から夫婦でリノベーションの仕事を請け負うようになりました。

壁に施すデザインは、母国で美術を学んでいたオレーナさんが手がけます。


(妻・オレーナさん)
「竹林をイメージしてデザインを考えました。縦じまの模様は、天井を高く見せる効果もあります」

2人で一緒に仕事をするのは初めてのこと。来日直後は大変なこともありましたが、最近では冗談を言えるようにもなってきました。リノベーションの収入は、1件につき材料費を除いて5万円。それほど多くはありませんが、生活の助けにはなります。

(リノベーションの依頼主)
「日本でも、ウクライナでやっていた仕事をちょっとやりたいって話があって。(どんなデザインになるか)ちょっとドキドキしたけど、すごく素敵に仕上がっている」

故郷のハルキウに残った両親を心配するも、状況は混迷を深め見通せず


ヴァレリさんたちが住んでいるのは、安城市内の県営住宅。ウクライナ避難民向けに無償で貸し出されています。仕事に、日本語の勉強。日本での生活にも徐々に慣れてきた一方、故郷ウクライナでの戦争は終わる兆しもなく更に混迷を深めています。

オレーナさんも、故郷に残っている両親のことをとても心配していました。オレーナさんの両親がいるのは、ウクライナ東部の街・ハルキウ。先月、ロシアから奪還されましたが爆撃によって電気や水道といったインフラは破壊されたままです。人々は今も地下での避難生活を余儀なくされています。


(妻・オレーナさん)
「ハルキウでは、電気やガスが通っておらず、暖房を使うこともできません。これから寒い冬がやってくるのでとても心配です」

ウクライナでは、18歳から60歳までの男性が国外に出ることを禁じていますが、ヴァレリさんのように子どもが3人以上いる場合などは例外的に認められています。安全な日本に避難できた一方で、娘たちのことも心配しています。