南海トラフは粘土の割合低いが…
(JAMSTEC 高知コア研究所 濱田洋平さん)
「スメクタイト粘土が多いと、水に濡れた時にヌルヌルになってしまう。これが断層に存在することでこの断層の摩擦を下げているのではないかと考えている」
実は南海トラフの調査でも、プレート境界の浅い部分に「スメクタイト粘土」は見つかりましたが、割合は東北よりはるかに低い全体の20%程度。そこで、研究チームは東北と南海トラフそれぞれの割合で、スメクタイト粘土を入れた試験体を作り地震が起きる時と同じ高温高圧状態で一気に力を加え、滑りやすさを比べました。

その結果、スメクタイト粘土の割合が少ない南海トラフでも、摩擦は東北とほぼ同じ。やはり浅い部分は滑りやすいことが分かったのです。
(JAMSTEC 高知コア研究所 濱田洋平さん)
「他の断層に比べてもそれなりに固さを持った断層、少し抵抗する力が大きいのかと思ったんですがやっぱり高速で回すと非常に弱くなるというのがこれで分かりましたね」

また、南海トラフの紀伊半島沖には、プレート境界断層とそこからわかれた「分岐断層」があります。この「分岐断層」を掘削で採取し、詳しく調べたところ、「プレート境界断層」と同様、過去に地震による滑りが海底面まで到達していたことがわかりました。
実は、この「分岐断層」が滑ると、津波がより高くなるというのです。

(JAMSTEC 高知コア研究所 濱田洋平さん)
「分岐断層は、プレート境界断層より断層の角度が高角なので、海をより持ち上げてしまって高い津波を作るのではないかと考えられている」