猛烈な繁殖力で、台風すら味方にして増え続ける


最大の問題は、アルゼンチンアリの生態です。一般的なアリは巣の中に女王アリが1匹ですが、アルゼンチンアリは1つの巣に複数の女王アリがいるのです。

この女王アリたちが、春から夏にかけて1匹につき1日に数十個もの卵を産み、爆発的に繁殖してしまうため根絶が極めて難しいのです。

(豊橋市環境保全課・山崎健さん)
「ほかの場所でも生息していたアルゼンチンアリが、別の場所に来て繁殖してしまう。終わりが見えないところが若干ある」

アルゼンチンアリは、気象災害すら味方に付けてしまう強靱な生命力を持っています。台風は、アルゼンチンアリにダメージを与えるどころか、生息域を拡大に一役買うこともあるのです。

(国立環境研究所・五箇公一室長)
「(元々現地では)河川敷に生息していて、洪水に遭うことを耐え忍んで進化してきた。水に流されたとしても浮いているものに捕まりながら、違う場所に流れ着いて簡単に巣を作る」


実際に京都市伏見区では、2013年の台風18号の影響でアルゼンチンアリの生息域が拡大したことが報告されています。

台風14号が去った9月21日、豊橋市環境保全課がこれまで生息が確認されていなかった場所に調査に行ってみると、たくさんのアルゼンチンアリが確認されたのです。台風の影響かどうかは断定できませんが、川沿いに新たな巣が作られていました。

(豊橋市環境保全課・山崎健さん)
「雨なのか、単純に引っ越してきただけなのかわかりませんが、巣ができてしまった。いなかった場所にまた増えたという意味で、地域内での生息場所が増えた形」


恐るべきスピードで増え続けるアルゼンチンアリ。終わりの見えない戦いは続きます。

CBCテレビ「チャント!」9月29日放送より