鳥取島根両県では5月、火事の件数が異常に多い状態となっています。
この影響で、救命救急医療の現場に、ある異変が起きています。

鳥取県米子市にある鳥取大学医学部附属病院高度救命救急センター。
鳥取県西部地域を中心とした、広い地域を担当する三次救急医療施設で、あらゆる領域の重篤な救急患者を24時間体制で受け入れています。

しかし、今ある異変が…

鳥大病院 高度救命救急センター 上田敬博 医師
「冬ではないのに、この時季なのに、火災によるやけど患者が増えています」

やけど患者の搬送が、多すぎるというのです。

この週末にも島根県安来市・雲南市、鳥取県鳥取市・境港市で建物火災が発生するなど、山陰両県で火災が相次いでいます。

鳥取県西部消防局によりますと、管内で5月に発生した火災件数は19件。
去年5月は5件で、およそ4倍となっています。

また、安来市消防本部によりますと、管内の去年5月の火災の件数は0件でしたが、今年5月は6件も発生しています。

現在、高度救命救急センターには重症患者を受け入れる病床が10床ありますが、そのうちの3床が、やけど患者で埋まっています。

鳥大病院 高度救命救急センター 上田敬博 医師
「3人とも別々の発生事案で、入院している患者さんの特徴としては、ガスコンロを付けたときに、衣服から引火して全身にやけどをしてしまうという事案もありました」

そして、複数の病床がやけど患者で埋まっている状態は、およそ1年以上続いているといいます。

この日も、やけど患者への懸命な処置が行われていました。

鳥大病院 高度救命救急センター 上田敬博 医師
「重症熱傷は1回あたり入院期間が長くなるので、それによるベッド不足というか病床不足が懸念されます。転院先を探すのに苦労するので、どんどん患者さんがたまってしまう状況です」

専門的なやけど治療が受けられる施設は限られているため、受け入れを断ることはできないと言います。

上田医師は、京都アニメーション放火殺人事件の被告の元主治医を務めるなど、やけど治療のスペシャリストということもあり、山陰両県だけではなく、岡山や京都など県外から患者が運ばれてくることも少なくありません。

鳥大病院 高度救命救急センター 上田敬博 医師
「とにかくやけどが起こるような環境が起こらないように注意していただきたいと思います」

今年は雨が少ないため空気が乾燥し、例年より火災が発生しやすい状況が続いているとのこと。火の取り扱いには十分な注意が必要です。