「黄砂」で症状悪化の可能性
目のかゆみなど、症状がひどくなる状況。実は、花粉だけでなく「黄砂」の影響が出ている可能性もあると専門家は指摘します。
聖路加国際大学大学院公衆衛生学研究科 大西一成 准教授
「日本の黄砂は海外に比べると、黄砂の濃度が低いのですが、濃度が高い時には、日本でも心筋梗塞や脳梗塞の救急搬送が増えていることなどが報告されています。黄砂に接触したり、吸い込んだりして短期間で影響が現れる場合と、さらされて時間が経ってから症状が現れる場合、どちらの報告もあります」
気象庁では、10日頃に大陸から黄砂が飛来すると予測していますが、大西准教授は、黄砂などの大気汚染の影響で、花粉症の人はアレルギー症状が強く出ている恐れがあるとしていて、特に、山陰地方を含む日本海側の地域では注意が必要と指摘します。

聖路加国際大学大学院公衆衛生学研究科 大西一成准教授
「花粉の相乗作用も報告されていて、粘膜に黄砂が接触すると、炎症が起きやすくなって、花粉症の悪化に影響していることも実験で分かっています。
特に日本海側では、同じく偏西風で、大陸由来の大気汚染物質が、黄砂に付着して同時に飛来してきています。また、日本海由来の塩の成分が同時に体にさらされてしまいますので、これらの影響も最近心配されています。
特に黄砂が飛来し始める時期は、気象条件が変化しやすく、低気圧になったりで体の不調を訴える方がいる時期でもあります。それと合わせて黄砂が飛来している途中で、大陸の上空で大気汚染物質を付着してしまう。最初に到達した黄砂は、そういった汚染物質を多く含んでいると考えられます。黄砂が飛来し始める頃に、症状が強く出ることはありうると思います」
黄砂では、基本的なアレルギー症状に加えてこんな特徴もあると言います。

聖路加国際大学大学院公衆衛生学研究科 大西一成 准教授
「黄砂の場合は、肌への症状が現れるということが分かっています。黄砂には様々な有害な重金属成分を含んでおりまして、肌へ直接接触することによって、かゆみや赤くなったりが観察されています。
黄砂や大気汚染物質の健康影響では、影響を受けやすい方とそうでない方がいます。特に、子ども、高齢の方、呼吸器皮膚等に既存の疾患がある方は影響を受けやすく、症状の悪化などの関連が報告されています。体の反応が未熟であったり、衰えていたりすることで、疾患につながる影響が受けやすいと考えられます」