2016年に新潟県内で発生した介護殺人事件を機に始まった「介護者の支援を考える集い」が10年目を迎え、主催した弁護士らは、事件の背景にあった“介護者の孤立と絶望”を教訓に、制度の穴と心の壁を越える支援のあり方を問い直しました。
「制度はあっても知られていない」事件の教訓
新潟市中央区で11月29日に開かれた集いには介護支援者など約80人が参加しました。集いでは、弁護を担当した平哲也弁護士と佐藤慎之助弁護士が事件を振り返りました。
平弁護士は当時を振り返り、「支援制度は確かに存在するが、“一般に周知されておらず、本人が知らない”ために利用できていないのが大きな問題点だった」と指摘。
佐藤弁護士は、当時の弁論で「在宅介護サービスを利用すれば何とかなったと言い切って良いのか。介護の選択はそれほど敷居の低いものだろうか」と、社会の無関心に訴えかけたといいます。
検察側が「制度があるのに使わなかった」と主張しがちな一方で、弁護側は「届いてほしい思いが完全には達成できなかった」という裁判後のモヤモヤが、この集いへと繋がったと明かされました。










