40年にわたり新潟県津南町の観光を支えてきたリゾート施設『ニュー・グリーンピア津南』について町が打ち出した売却方針を巡り、地元が揺れています。
再建への道はどう描かれるのでしょうか。

【津南町 桑原悠 町長】
「町の将来のため、町民のために総力をもって改善や発展に取り組む必要があって」

8月30日には町が、売却方針を決めたリゾート施設『ニュー・グリーンピア津南』について町民に向けた説明会を開きました。

もともとは公的年金資金で全国各地に建設された『グリーンピア』。
津南町では1985年に開業しましたが、その後厚生労働省が廃止と売却の方針を決定したために、2005年からは“ニュー・グリーンピア”として町が建物と土地を所有したうえで、運営会社の津南高原開発が町に賃料を払う形で経営してきました。

しかし施設の老朽化が課題となり町では、今後の修繕費として15~25億円かかると判断。所有する土地と建物を民間に売却し、新たな運営体制で再建を図る方針を示したものです。

【津南町 桑原悠 町長】
「町として抱えきれなくなった『ニュー・グリーンピア津南』を民間に譲渡して、町の資産の再生を行いたい。町として“負の遺産化”を止めなければならない」

町が優先交渉先として選んだのは、東京に本社を置いて不動産事業やホテル運営事業を手がける『イントランス』です。

イントランスは、町から土地と建物を10億円で買い取った後に62~100億円をかけて海外のホテルブランドを誘致すると提案しているということです。

30日の説明会に参加した町民からは、心配の声も聞かれました。

「どこから10億円を持ってくるのか、その確約もない」
「“リニューアル”という言葉で土地をいじったりして、津南町のイメージを崩さないかどうかが心配」

また、現在の運営会社である『津南高原開発』の樋口明社長によりますと、イントランスが予定している大規模改修には数年かかるとみられるため、「営業ができない期間の、従業員140人の雇用や取引先への影響は計り知れない」としています。

「その人たちが職を失った場合、津南町にそれだけの仕事があるのか?」
「若い人たちは働き口を見つけるために津南町を出ていくということになるので、津南の人口が拍車をかけて減っていく…」

そこで『津南高原開発』では、地方創生ファンドの支援を受けた上で土地と建物を町から6400万円で購入し、休業期間をつくらずに“リニューアル”する案を示しています。

一方で津南町の桑原悠町長は、従業員の雇用について以下のように説明します。

「イントランスからは『雇用は継続したい』と聞いている。町独自の転職相談会やハローワークとの情報連携の強化とともに、国としての支援策がないかどうかについても内閣官房を窓口に照会をかけている…」

津南町は、9月末をめどにイントランスと協定書を結び、年末に売買契約を交わす方針だとしていますが、今後の展開が注目されます。