新潟県小千谷市の工場でパワー半導体のウエハー製造を手掛けていた東京都港区新橋の『JSファンダリ』が、14日に東京地裁へ破産を申請したことが分かりました。
民間の信用調査会社・東京商工リサーチ新潟支店によりますと、負債総額はおよそ161億円とみられています。
複数のファンドからの出資により2021年に設立された『JSファンダリ』は、かつての家電メーカー三洋電機が半導体の生産拠点として新潟県小千谷市に構えた旧新潟三洋電子を祖とし、従前の半導体と異なり高電圧で大きな電力の処理を得意とする“パワー半導体”と呼ばれる製品を主業に事業を進めていました。

今後の世界的な需要増が見込まれるパワー半導体分野の将来性を見据え、2023年8月までの1年間で36億円、その後の8~12月には約31億4000万円の売上高を計上していましたが、2023年12月期の最終赤字が13億7200万円になるなど、採算面ではまだ課題があったとみられています。
そのため更なる需要に対応すべく、2024年10月からは、シリコンウエハース(Siウエハー)の次世代を担うSiCウエハー(シリコン+カーボン ウエハース)事業にも乗り出し、補助金や財務省が所管する日本政策投資銀行などからの出資で、2024~25年には150億円、2026~27年には130億円の大型設備投資が予定され、2028年には従業員も800~900人程度まで増やす計画となっていました。
しかし、将来性が見込まれる一方で、EV関係の減速などの影響もあって収益の安定的がなかなか果たせず、並行して進めてきた海外企業との資本提携交渉も破談。
民事再生も叶わずにおよそ500人の従業員を解雇し、破産申請を選択したとみられます。