十和田湖や奥入瀬渓流が有名な青森県十和田市にこの冬、新しい観光資源が登場し、人気を集めている。雪景色を見ながら、地元食材を使ったチーズフォンデュや青森リンゴ3個分を使ったアフタヌーンティーを楽しめるかまくらドームレストランで雪国の観光客の取り込みを狙う。
十和田市の中心街を離れ、奥入瀬渓流に向かう道中見えてきたのは目的地「道の駅 奥入瀬ろまんパーク」。同駅敷地内の前庭にはこの冬から2基の透明な半球体が設置されている。直径3.6メートル、高さ2.1メートルの透明ドームの中でランチを食べながら、360度の銀世界を楽しめる「奥入瀬かまくらドームレストラン」だ。

このかまくらドーム1基の定員は4人。透明だが完全個室のプライベート空間になっていて、内部はヒーターやカーペットも完備され、くつろぎながら過ごせる。

ランチメニューはしゃぶしゃぶとチーズフォンデュの2コースから選べる。季節の野菜を使った前菜がつくほか、どちらも地元食材をふんだんに、そしてこだわったメニューになっている。(料金は1人税込8800円)

フォンデュは地元・奥入瀬ヨーグルト仕立ての爽やかなフォンデュのほか、ブルワリーレストランの特注の石窯で焼く8種類のピザの中から好きなものを食べ放題。

また、しゃぶしゃぶは青森県産にもこだわり、奥入瀬ガーリックポークや野菜など地元食材をふんだんに使うなど力を入れている。

さらにアフターヌーンティーコースは、青森りんご専門店「あら、りんご。」手作りのリンゴ尽くし限定セット。チーズケーキにパイ、タルト、スコーン、またリンゴ1個まるごと使ったリンゴ飴など1人3個分のリンゴスイーツを提供するまさにリンゴのスイーツフルコース。一緒にいただくコーヒーやティーも、リンゴにあうものを用意するなど、こだわり満載のコース(税込4400円)。

■豊かな水が生んだビール 地元食材を使ったピザ OIRASE BEER Brewery&Restaurant

今回、この企画を仕掛けたのは、十和田市の観光を推進する十和田奥入瀬観光機構と奥入瀬ろまんパークの一部運営するA-WORLDの2者で、こうした常設は東北では初めてだという。A-WORLDは同駅内で奥入瀬ビールの製造、レストランも手掛けているいて、かまくらドームランチでは、もちろんこの奥入瀬ビールとレストランのピザも楽しめる。

奥入瀬ビールは、1997年から続く地元「OIRASE BREWERY」が醸造したクラフトビールで、十和田・奥入瀬の豊かな水から生まれた爽やかなホップの香り、フルーティーな味わいが特徴。定番6種類のほか、青森県産の特A米・青天の霹靂を使ったビールなども出していて、同レストランではこのクラフトビールにあったピザや料理が楽しめる。


奥入瀬渓流・十和田湖は新緑や紅葉で有名だが、十和田奥入瀬観光機構の金子さんによると冬はどうしても客足が鈍る。また自然が豊かな反面、観光客が昼食をとる店などが少ないこともあって、今回新たな冬の集客コンテンツとして、A-WORLDに連携を持ちかけたという。
※OIRASE BEER Brewery&Restaurant 渡邊 永店長
「冬のシーズン、奥入瀬紅葉が終わるとやはり集客が落ち込むので、雪国らしいロケーションでビールやピザを提供できればと思い企画しました」

渡邊店長によると、雪に触れる機会も少ない首都圏や西日本からの観光客からは、珍しいロケーションでの食事で楽しいといった感想も多く、予約状況は好調だという。

※渡邊店長
「皆様なかなか初めて経験するスタイルでのお食事ということもあり、評判も上々です。コロナ禍もあって、家族だけでの空間としても使い勝手がいいというお声もいただいてました。また意外に地元・十和田や八戸市など県南地方からの利用客も多いです」
今回話を聞いた渡邊店長は、実は熊本出身で、今シーズンが十和田で過ごす初めての冬。最後にその魅力をこう語ってくれた。

※渡邊店長
「喧騒を離れる、日ごろのストレスや普段の忙しさを一瞬にして吹き飛ばしてくれる場所かなと思います。雪が降って静かな場所にいるからこそ普段味わえないような自分の余白、余裕をもたらしてくれる場所、皆さんにも冬の十和田を楽しんでもらえれば。冬の十和田の魅力はまだ知らない人も多いので、こうした企画もきっかけに、楽しみ方をしっかりと伝えていきたい」

10年に一度の最強寒波に見舞われたこの冬。温かいかまくらドームでビールとランチに舌鼓を打ちながら、雪景色を見て喧騒を忘れるのも乙なものだ。雪国ならではの資源と食を掛け合わせた新たなアクティビティ・冬の楽しみ方として、観光客の取り込みに期待がかかる。
奥入瀬かまくらドーム(3月中旬まで)
ランチ、アフタヌーンティーいずれも1日限定2組、完全予約制。
ランチは11:30-13:30 アフタヌーンタイムは14:30-16:30