80年前の広島で原爆の被害を受けたいわゆる“被爆ピアノ”によるコンサートが青森市で開かれ、平和の音色を響かせました。

市川麻耶 キャスター
「ピアノには被爆した際の多くの傷が残されています。この被爆ピアノが、美しく、そして力強い平和の音色を奏でています」

会場で美しい調べを響かせるのは、80年前の1945年に広島の民家で原爆の被害を受けた“被爆ピアノ”です。

全国で演奏会を続ける矢川光則さんが調律を施し、広島から運び込みました。

ピアノの傷は被爆した当時のまま残っています。

ピアノ調律師 矢川光則さん
「塗装もやり直してきれいにしてしまうと、歴史を消してしまうことにもなる。217本弦がはってあります。たった2本しか交換していないんです。被爆当時のままのピアノ線です」

青森市の浦町中学校の生徒たちが演奏し、訪れた人たちが平和への思いを新たにしていました。

被爆ピアノを演奏 小山内カエラさん(3年)
「普段のピアノとは違う重さと、弾きづらさも感じて、実際に被爆した重みを感じることができました」

被爆ピアノを演奏 武田 晏さん(1年)
「受け継がれてきたものを、しっかり感謝の思いを込めて弾くことができた。戦争はあってはならないものだからこそ、みんなが平和を大切にするべきだと思った」

被爆ピアノは、2017年にノルウェーで開かれたノーベル平和賞コンサートの演奏でも使われたということです。