「女優になりたい」劇団では「“楽しい”しかなかった」

唐ひづるさん
「小学校の学芸会で、童話『安寿と厨子王』の劇をやって、その時に安寿を演じて、女優になりたいって思った」

高校に入ると、元々やっていた吹奏楽部も考えた。しかし、少し方向転換をして演劇部に入部した。

唐ひづるさん
「演劇部の顧問の先生が一生懸命な方で、自分で脚本を書く人だったんですね。高校の演劇の大会でいろんな高校生の演劇を見て、私が『この女優さん素敵だな』と思って書いた相手も、私のことを『素晴らしかった』と書いてくれていました」

演劇への思いは強く、東京の短大へ進学した後、映画サークルの先輩に紹介されて東京大学の学生演劇の劇団に入団した。そして、就職後も続けた。
唐ひづるさん
「その頃、東大の駒場寮の中に劇場があったんですよ。そこで演劇をしていました。“楽しい”しかなかったですね」

本気で演劇と向き合うため、8年勤めた会社を辞めて、演劇研究所へ。そこで出会った人たちの情熱や気迫に刺激を受け、役者としての意識が変わった。
唐ひづるさん
「同じ脚本を演じる際に、その人の個性をどうやって出していくか。一人一人見ていくと、個性を出したり、その人の元々持っている才能だったりが如実に表れるので、すごく刺激をもらいました」

しかし2年目の選抜で落選。別の劇団にも挑戦したが、難しかった。人生で初めての挫折を味わっている頃、朗読と出会う。