能登半島地震で液状化の被害が深刻な富山県氷見市の一部の地区では、被災した住宅をまとめて解体し早期復旧につなげる案が住民から提案され、検討が始まっています。被災した住民からは「もうゴーストタウンになってしまう」という声もあがっています。

氷見市の沿岸部に位置する、栄町(さかえまち)。長屋のように続く住宅は地震による液状化被害が深刻でブルーシートで覆われた家が目立ちます。

新道町内会会長・鎌和紀さん:
「ほとんどの家がもう住むことは不可能」


栄町の新道町内会、会長を務める鎌和紀さん。きのう、市にこの地区の被災住宅をまとめて解体することを求める要望書を提出しました。

新道町内会会長・鎌和紀さん:
「この状態だったらもう絶対住めないから壊すしかない。ただ、両隣の家壊されて1軒ぽつんと残ったら、絶対傾くんです。間違いなく。こんな造りですから。だからそんなことにならないように1つのブロック単位で、まとまりで考えてほしいという要望を市に出してあるんですね」

新道町内会によりますと、このエリアにある全77軒のうち39軒が地震で損壊。このうち、大半の家が引っ越しを決めていて、残るのは9軒のみといいます。

記者:
「この後どうするか」
被災した住民:
「解体やね。人が住めないもん。ここらへん全体おそらくさびれてしまうと思うわ。もうゴーストタウンやろうね」

鎌さんの自宅も地割れがひどく全壊に。来月には自宅を離れます。

新道町内会会長・鎌和紀さん:
「更地になった状態で、なおかつ地盤改良してそれから(新たに家を)建ててってことになるともう何年…どれだけ先の話になるか」

市は、半壊以上の住宅をまとめて公費解体し早期の復興につなげたい考えですが、この地区には公費解体の対象にならない一部損壊の住宅も多く、鎌さんらは手厚い支援を求めています。

新道町内会会長・鎌和紀さん:
「願うことは落ち着けること。最後にどうするかまで決められるように市にいろんなサポートをお願いしたい」