被爆者を親に持つ被爆二世の体に原爆放射線の影響はあるのか?市民団体が3年かけて行った調査結果が公表されました。

調査を行ったのは京都『被爆二世・三世の会』です。

神奈川県在住の被爆二世 森川聖詩さんが実際に体験してきた『健康障害』を46項目リストアップし、同様の経験があるかをたずねるアンケートを実施しました。

神奈川県・被爆二世森川聖詩さん:
「ここまで掘り下げている(調査)は初めてであると言い切っても過言ではないと思います」

回答したのは全国102人の被爆二世。このうち健康障害を訴えたのは70人でした。

小さい頃からの虚弱やけがの治りにくさ、腹痛を伴う下痢など小さい頃から続く『日常的な体調不良』を訴える人が目立ちます。

京都『被爆二世・三世の会』世話人代表 平信行さん:
「がんとか症状に焦点を当てた調査活動が一般的には多いと思うが、なかなかそこの範疇に入らない──でも本当に深刻な健康障害がたくさんある」

一方、被爆者が『健康管理手当』を受給する要件となっている11の障害についても10の障害について最大18人が「罹患経験がある」と回答。

そして10人の被爆二世が兄妹・姉妹の死産や流産を経験したと回答しました。さらに9人は自分自身または妻が「流産」を経験していました。

神奈川県・被爆二世 森川聖詩さん:
「こう話している私も母からの話では3歳までの間に3回くらいは死線をさまよった。そういうものをくぐり抜けてこなければならなかったということですね」

京都『被爆二世・三世の会』世話人代表 平信行さん:
「同じような体験をしていないのか?しているんじゃないかを点検できるよな状態をぜひ作っていきたい」

被爆二世は全国に推計30万人~50万人。
調査を行った被爆二世は今回の結果をもとに今月7日、厚労省に対し二世の健康実態を訴え、援護施策を求める統一交渉を行う予定です。

原爆放射線について国は「遺伝的影響を示す科学的知見はない」としています。一方、日米合同研究機関である放射線影響研究所は、被爆者と子どもの遺伝情報を調べるゲノム解析からその影響を調べる方針で、この春、長崎で説明会を開くとしています。