昨季セ・リーグ投手2冠(最多勝、最高勝率)を獲得したDeNA・東克樹(28、あずま・かつき)が高校時代を過ごした愛知・名古屋で2024年シーズンへ向け、始動した。そこで語った東の原動力となる言葉の意味に迫る。

高校時代を過ごした名古屋で始動


四球を与えない精密機械のような制球力で昨季自己最多となる16勝を挙げ、「最多勝」「最高勝率」の投手2冠を獲得した。しかし、順風満帆なプロ生活ではなかった。
2017年ドラフト会議でDeNAから1位指名を受け、2018年のルーキーイヤーには先発として11勝を挙げ、新人王を獲得。幸先のいいスタートを切ったかのように見えたが、2年目に左肘のケガの影響でチームを離脱した。3年目となる2019年には左肘の「トミー・ジョン手術(肘じん帯再建手術)」を受け、長期の離脱を余儀なくされた。

苦しいリハビリ期間を支えた言葉「雲外蒼天」


苦しいリハビリ期間に、当時「何やっているんだろう」「オフの過ごし方、もっと考えてやればよかった」と後悔を口にすることも。そんな苦しい東を支えていた言葉があった。

「雲外蒼天(うんがいそうてん)」の言葉を支えに復活

東の中学時代の担任の先生からもらった言葉だ。
「苦しい場面の先に明るい未来があると思って、どんな困難も乗り越えようと思った」と「雲外蒼天」という言葉に自分自身を重ねた。リハビリと結果が出ない苦しいシーズンを過ごした東は昨季、圧巻の活躍を見せ、見事復活を遂げた。

今季は「飛躍」を誓う

このオフは今季に向け“運動量確保”を掲げ、例年以上のトレーニングを積んだ。エース今永昇太(30、いまなが・しょうた)のMLBカブス移籍により東には大きな期待が寄せられる。

鍛え上げ“飛躍”へ

今季の目標として、色紙にしたためた言葉は「飛躍」。
「現状維持は退化だと思って頑張りたい」と、更なる飛躍を誓った。

“雲外蒼天”

26日の全日本卓球選手権で女子シングルス代表権を掴んだ平野美宇選手が大会前の意気込みで色紙に記した。また、去年11月に将棋界史上初八冠達成の藤井聡太が内閣総理大臣顕彰を授与された際のお礼として岸田首相に渡された将棋盤に“雲外蒼天”が記されていた。

東克樹(あずま・かつき)

投手 左投左打
1995年11月29日生 170cm 76kg
愛工大名電高~立命館大~横浜DeNAベイスターズ(17年ドラフト1位)
1年目となる18年に11勝を挙げ、新人王を獲得。怪我に苦しみ19年からの4年間でわずか5勝。昨季は24試合16勝3敗、防御率1.98、勝率.842の成績で最多勝、最高勝率、ベストナインを獲得した。