自分がありのままの自分を受け入れることで周りにも変化が

雨野さんを変えたのは、長男の誕生でした。
「赤ちゃんって、いるだけですごく愛されるんですよね。それが分かって、自分も他の人もそういう存在なんだなと、すごく腑に落ちて。自己肯定感がちょっとだけあがったように思います。
それで、育休後は、ADHD傾向があると相談して復職しようと決めました。職員室で挨拶するときに『こういうことが苦手で、こうがんばっていこうと思っているので、ご迷惑をおかけしますがお願いします』と挨拶しました。そしたら、職員室の先生方が『うん、うん』と首を縦に振りながら優しく聞いてくれました。
たぶん育休前も、本当はいじわるな人は1人もいなくて、自分がそういうふうに思っていたからそう見えていただけで、自分が変われば周りが変わって見えるんだなと思いました」

ーー自分のありのままを伝えることで、仕事に変化はありましたか?
「物を忘れなくなるかというと、全くそんなことはなくて。大事なものが入っているのに、体育館に置きっぱなし、などなどあったんですけど、周囲に自分の特性を伝えてあるから、みんなが職員室に郵便屋さんみたいに届けてくれるようになりました。
あと、4年生の図工を3クラス持ったのですが、図工ってADHDの人は怒られがちなんです。材料がないとできない授業が結構あるのですが、忘れてくる子はだいたい同じなんです。だから決まりを作ったんです。私も忘れちゃうから、忘れるのは仕方ないから、授業が始まる前の休み時間に『先生、忘れました』と言ってくれたら、貸すからねって。
1年の授業の最後のときにみんながお手紙をくれたんですが、ほとんどの児童が『車を作った授業が楽しかった』とか『この絵を描いたのが楽しかった』と書いてある手紙でした。でも、忘れ物が多かった子は『先生は忘れものをしても大丈夫だよって言ってくれました。図工が好きになりました』と書いてありました。
1年の最後のお別れの手紙で忘れ物のこと書くなんて、どれだけこれまで忘れ物のことで責められたり、自分がだめって思っていたんだろう…って。このことを思い出すといつも泣いてしまいます。
自分が同じようなところがあるとお伝えすると、救いになると思ってくれる人がいるのかなと思いました」

















