コミュニケーションが難しい…劣等感から自ら孤立することも

ーー境界知能であることで、具体的にはどのような支障がありますか?

「学校や仕事の"暗黙の了解"や、普通に育っていれば身につくようなマナーなどが大人になってもなかなか身に付かずに、常識外れな行動をとってしまうこともあります。

またコミュニケーションの難しさがあります。人の話が長いときは意識が散漫になってしまって、頭の中にインプットされない。話の展開のスピードについていけないこともあります。また、話の文脈がわからなかったり、頭に情景は浮かんでも言葉にするのが難しかったりもします。

自分自身も話をしていて苦痛だし、相手にとっても苦痛なんじゃないかと思ってしまうことが結構あって。相手のことに気を取られてしまうから、ますます目の前の話についていけないっていう…」

ーーこれまでに親密な人間関係を築けたことはありますか?

「高校生の頃に1人だけちょっと仲がいい人がいたんですけど、自分から距離をとってしまいました」

ーーなぜですか?

「自分を深く探られたくない思いがあるというか。その人には僕以外にも友達がたくさんいるので、1人でいることが多いから付き合ってやろうかみたいな同情心みたいなことを思ってるんじゃないかと考えてしまって。とにかく事実を確認する前に自分の中で完結しがちというのが多かったです」

“障害”ではない。でも、“普通”にもできない。実は境界知能による特性であっても、それは自己責任としてなんばさんにふりかかり、なんばさんは劣等感から孤立するようになったという。そんななんばさんが、あることをきっかけに自分の特性に向き合うようになる。