いまも断水に苦しむ被災地「ひみ寒ぶり」の拠点としても知られる港町、富山県氷見市の寿司店に中川環アナウンサーからのレポートです。
中川環アナウンサー:氷見市阿尾の寿司店『参志郎』さんに来ています。およそ50年に渡り、地域の人に愛されている寿司店です。
店主の山本康雄(やすお) さん:そして、奥さまの厚子(あつこ)さんです。大変な中、ご協力くださり、ありがとうございます。
中川アナ:こちらの積み上げられている寿司桶。お正月にたくさん注文が入っていて、用意されたものです。
中川アナ:この正月の予約どれくらい見込まれていたんですか。
山本康雄さん:約800人前ほどは予約を聞いていたと思うんですけれども。
中川アナ:全てキャンセルに?
山本康雄さん:8割はキャンセルになった状態です。
中川アナ:気持ちはいかがですか
山本康雄さん:やりきれない気持ちもありますけど、割り切った気持ちもありますし、座敷のお客さまには迷惑かけたなと思います。
中川アナ:地震当時もお寿司をにぎっていらっしゃったんですよね?
山本康雄さん:時間との勝負ですから、ものすごく追われた状態ですから余裕なかったです。 自分としては、めいっぱい時間までに持っていくというプレッシャーの中でやっていましたから。
中川アナ:当時の様子はいかがでしたか?
妻 山本厚子さん:私は寿司の盛り込みをしていたんですけど、2回目の地震が来た時に神様棚から物が落ちまして。器も割れまして。もうちょっと悲惨な感じでしたね。
中川アナ:その作られたお寿司は、避難所の方に持っていかれたんですよね。
山本康雄さん:皆さんには行きわたらないと思うんですけど、ボランティアで役員の方には少し召し上がってもらえたと思うんですけど、たくさんの方がおいでましたからね。
中川アナ:そういう気持ちが避難している方にはありがたいのかなと思いますが。
山本康雄さん:力的には、私たちの力は小さなものです。
中川アナ:氷見市内では昨日から徐々に断水は復旧していますが、こちらでは未だ断水が続いています。現在どう過ごされていますか?
山本康雄さん:水が出ないもんですから、注文もできないですし、トイレとか生活にも。助けられたというか。親戚とか近所の方の協力で、こういう風に水とかをたくさんもらってなんとかしのいでるところです。
中川アナ:助け合いの精神で乗り越えられているんですね。
山本康雄さん:ありがたいことですが、私たちも助けられているなというのをしみじみ思っています。
中川アナ:800人前を用意されていたということですけれども、そのネタというのはどうされているのでしょうか。
山本康雄さん:まだかなり残っていますし、魚屋さんには無理を言ってキャンセルさせていただきましたし、迷惑かけたなと思っているんです。
中川アナ:まだこちらの店舗にはあるのでしょうか。
山本康雄さん:こちらにあります。
中川アナ:ブリ・カジキ・イカ・ススキ・マダイ・メジリなどまだ沢山残ってますね。ブリはどのくらい仕入れた?
山本康雄さん:キャンセルしたものもあるが3本ほど用意した。
中川アナ:大量ですよね、処理っていうのは大変ですか?
山本康雄さん:ボランティアで水をもらったりなんかした人に切り身や刺身をあげたり。助けたっていうより助けられました。
中川アナ:断水が続いているという状況ですけど、現在もですよね?いくらこうひねっても出てこないですね。営業の再開のめどは?
山本厚子さん:断水が終わって少ししたら再開して皆さんの笑顔を見たい。断水状況だとできない 水が出たらすぐにでも再開して、常連さんの顔を見たいです。皆さんの顔がとにかく見たいです。
山本康雄さん:にこやかにここで飲んで騒いでくれているその姿をもう一度見たいです。
中川アナ:一日も早い復興・復旧を願っています。以上、断水が続く氷見市からお伝えしました。