国の原子力規制委員会は、ことし9月に委員長が交代し発足当初のメンバーがゼロとなります。そんななか、次の委員長を務める山中伸介委員が7日、北陸電力・志賀原子力発電所を初めて視察しました。再稼働に向けた調査が続く志賀原発の現状を把握し、今後の審査会合の参考にしたい考えです。

運転停止が続く志賀原子力発電所。7日初めて視察に訪れたのは、今年9月に原子力規制委員会の委員長となる山中伸介委員です。

山中委員は大阪大学の元副学長で、2017年に委員に就任後、主に原子炉施設の審査を担当。9月21日付けで退任する更田豊志委員長の後任として、全国の原発を視察しています。

志賀原発2号機を巡っては、再稼働に向けて原子力規制委員会による安全性の審査が続いていて、秋に2度目の現地調査が予定されています。

最大の焦点は敷地内断層の活動性の有無です。

記者リポート:
「志賀原発敷地内にあるS─4断層です。山中委員が北陸電力の職員から活動性を否定する根拠について説明を受けています」

S─4断層は、2号機の原子炉建屋直下を走る断層で、去年11月に行われた規制委員会の現地調査では、一部のデータに不明瞭な点があるとして追加調査の対象とされました。

北電側は、岩盤の上部の堆積物によって断層の一部が不明瞭になっているものの、断層を横断する鉱物脈から最新の活動年代を調べる手法では「ずれや変形は認められない」として「活断層ではない」と説明しています。

山中委員はこのほか、志賀原発から1キロほど離れた地点にある福浦断層なども実際に見て回りました。

2012年に設置された原子力規制委員会は、9月の委員長交代で発足当初のメンバーはゼロになりますが、次期委員長の山中委員は現場で得た知見を今後の委員会運営に生かしたいとしています。

山中伸介委員:
「第一印象でございますけども、施設全体の整備を非常によくされている。私としては好印象を持ちました。二度と福島原子力発電所1号機のような事故を起すことのないように厳格な審査を続けたいと思っています」