インドとパキスタンが領有権を争うカシミール地方をめぐり、インドの最高裁は、モディ政権が直轄領とし、ジャム・カシミール州の自治権をはく奪した決定を「合憲」とする判断を示しました。

インド国内で唯一、イスラム教徒が多数を占める北部のジャム・カシミール州をめぐっては、モディ政権が2019年に自治権のはく奪を決定。自治権を規定した憲法370条を廃止し、インドの直轄領としましたが、州側は異議を申し立てていました。

モディ政権による措置について、インドの最高裁は11日、「正当な権力の行使」と支持し、「合憲」とする判断を示しました。自治権を認める憲法の規定は、「一時的なものに過ぎない」と指摘しています。

ヒンドゥー至上主義を掲げるモディ首相は、判決を受け、「団結したインドを築くための我々の決意の証」と歓迎するコメントを出しました。

インドとパキスタンにまたがるカシミール地方では、両国が分離独立した1947年以降、領有権をめぐる対立から武力衝突が繰り返されています。

パキスタン側は、今回のインド最高裁の判断を「断固拒否する」と猛反発していて、両国の緊張が再び高まるおそれがあります。