■悲しみを乗り越えつかんだプロの道、広島との不思議な縁
3か月後に行われた、福岡ソフトバンクホークス3軍との交流試合。先発した滝田投手は、プロを相手に6回10奪三振2安打無失点と好投しました。
この試合をきっかけ、滝田投手は一躍、プロ注目の存在となり、そこから「本気でプロを目指す」決意が固まったといいます。とはいえ、「プロに本当に行けるかどうか」という不安が常につきまといました。
「辛かったです。母がいれば話したかったです。ずっと一人だったので。いつもなら激励してくれたりしたので」
そして迎えたドラフト当日。遺影を手に、形見のネックレスを身につけて”母親と一緒”に指名を待ちました。広島から3位で指名を受けると、これまでの不安から一気に解放され、安堵の涙があふれ出ました。
滝田投手は、広島とは不思議な縁を感じています。

「中学時代は大野豊さん(68)に憧れていました。大野さんの現役時代を知る世代ではないのですが、野村克也さんの本に出ていて、動画を見たらすごいなと。あのぐっと沈み込むフォームをしたくて。やってみたのですが、自分には合わずに変な投げ方になっちゃいました(笑)」
これまで日本球界では6人しか達成していない『100勝100セーブ』を記録したカープのレジェンド大野豊さん。大野さんも、母子家庭で育った経緯があるということで、「これから話せる機会があるかもしれないので、とても楽しみ」と語ります。
そして、恩師の二宮監督も広島県出身。
「これも何かの縁ですかね。本当に二宮監督の言葉がなければ、今の自分はいないので感謝しています」