アップサイクルとは、不用品に新たな価値を加えて再生することで、「創造的再利用」とも呼ばれています。番組では今年6月から、学生と企業がコラボし、捨てられるはずだった紙や布を加賀友禅の技法で生まれ変わらせる取り組みを取材してきました。
プロジェクトスタートから半年。12月8日、完成した加賀友禅手ぬぐいの発表会が行われました。

「アップサイクル加賀友禅手ぬぐい完成しました!」
一般社団法人アップサイクル・瀧井和篤 事務局長
「友禅独特のやわらかさとか繊細さが出ていてすごくいいなと。生地から作ってきたので自分の子どものように愛着持って使っていきたい」

今年6月、30の企業や団体で作る一般社団法人アップサイクルを中心に、不要となった紙や間伐材で作った布を手ぬぐいに生まれ変わらせるプロジェクトがスタートしました。

制作にあたっては、加賀友禅の繊細な伝統技法が取り入れられています。

加賀友禅作家・毎田仁嗣さん
「社会性にかかわる素材、そういうテーマの中で自分たちの技術やデザインをどう生かせるのか、難しい部分ではあるが、面白い部分と思って学生にも楽しんでやってもらえたらいいかなと」

原画のデザインを担当したのは京都精華大学で染織を学ぶ学生たち。

芸術学部4年・レフマンサディカさん
「伐採して余った部分が問題になっているのはニュースなどで度々見ていたので、そういう話を聞いてやってみたいと思っていた」

完成したデザインは4種類。
一つ目のタイトルは「Cycle of…」

京都精華大学芸術学部助手・亀田ひなたさん
「大気と土壌、水質汚染が改善され、生き物が暮らしやすい豊かで美しい環境になるよう思いを込めた」

京都精華大学芸術学部4年・前田乃愛さん ‶紙糸で紡ぐ世界”
「海洋汚染の改善に着目して絵画とは違って布の表現ならではの色のぼかしを使うことで世界を表現した」

京都精華大学芸術学部4年・菊池優惟子さん‶輪廻転生”
「テーマは廃棄される紙資源や間伐材。また友禅のモチーフによく使われるキク科、花言葉は輪廻転生・再生という言葉が多くあって、それをデザインに取り入れた」

4つ目の作品、タイトルは「共生」。
学生のレフマンサディカさんが自然との共生と、性別にこだわらないジェンダーレスという、2つのSDGsをテーマに制作しました。
加賀友禅作家・毎田仁嗣さん
「いろいろなものに展開していけるなと。今回は手ぬぐいから始めたが、最初はもっと太い糸だった。手ぬぐいも最初の糸だとできなかった」
アップサイクルでは、活動を通して全国の伝統工芸が身近なものに感じられる取り組みを続けていきたいとしています。
加賀友禅手ぬぐいは、金沢市の毎田染画工芸のほか、ウェブサイトからも購入できます。