全国的にクマの出没や人がクマに襲われる被害が相次ぐ中、岩手県雫石町にある時計の製造工場で、クマと遭遇した場合に備えるための研修会が開かれました。

研修会が開かれたのは、雫石町にある「盛岡セイコー工業」の工場で、6日は社員12人が参加しました。
講師を務めたのは、農水省の農産物野生鳥獣被害対策アドバイザーも務める雫石町職員の谷崎修さんです。
クマの生態や被害の現状を座学で学んだ後は、クマと遭遇してしまった場合に使う「クマスプレー」や、クマをはじめとした野生鳥獣による被害を防ぐため大きな音で追い払う「花火」を使用することで、実際にクマ対策を体験しました。

(従業員)
「初めてスプレーを噴射した。スプレーがあることをこれまで知らなかった。結構勢いが良くて、押した瞬間上向きになるぐらい勢いがすごかった」

盛岡セイコー工業の工場は、およそ10万平方メートルの敷地の3割ほどが林となっていて、敷地内ではこれまでも度々クマが目撃されています。
研修会を企画した盛岡セイコー工業の村里法志さんは、社員をクマ被害から守ることは企業の責任と考えています。

(盛岡セイコー工業 SDGs推進部 村里法志さん)
「我々は森に近い、自然に近い場所に立地している。今のところ被害はないが、被害を予防することが重要だと思い企画した。(クマの生態を)理解して、いろいろな活動をすることが大事だと思う」
(講師を務めた雫石町 谷崎修さん)
「社員の方々が非常に熱心に聞いていて良かった。クマに先に人間の存在を知らせることが大事。クマスプレー、花火を鳴らしてから(山=クマの住処に)入ることが有効」

広い森林面積を誇る県内では、工場や作業場の立地がクマの生息圏と近い企業も多く、クマによる人身被害が増えている今、企業による対策の広がりが期待されます。