「黒いダイヤ」と呼ばれて高級食材として知られるナマコの赤ちゃん『稚ナマコ』の放流が新潟県佐渡市で始まっています。
しかし中国が、福島第一原発の処理水海洋放出以降、日本からの水産物輸入停止をいまだ続けていることから、関係者からは不安の声もあがっています。

佐渡市では12月に入ってから、漁業者に稚ナマコの配布が始まりました。
稚ナマコは佐渡市の加茂湖に放流。3年たって出荷できる大きさに成長するということです。今年の加茂湖のナマコ漁は12月20日から始まる予定ですが、その先行きが今年は特に不透明になっています。

これまで、佐渡市で獲れたナマコの大半は中国へ輸出していました。
しかし、福島第一原子力発電所の処理水を海洋放出して以来、中国は日本の水産物の輸入を停止しているため、ナマコも中国へ輸出できなくなっているのです。

【稚ナマコ生産者 浦島三和 須藤由彦社長】
「売り先があって初めて商売が成り立つんで…。まず売り先がない」

新潟県漁業協同組合連合会(県漁連)によりますと、東京電力はナマコを扱う漁業者に賠償する方針を示していて、11月には佐渡市で説明会が開かれています。
その説明会では、処理水放出前の値段と処理水放出後の値段の差を損失分として賠償するという案が示されたということです。

【加茂湖漁業協同組合 山本博文代表理事組合長】
「補償は当然だと思うが、漁師は漁をしてお金を稼いで生活するのが基本です。補償で生きていくわけではないので、普通に漁ができる環境にしていただきたい」

県漁連では、東京電力と引き続き協議していくとしています。