2日夜遅く、フィリピン付近を震源とする大地震があり、宮崎県内沿岸に津波注意報が発表されました。
日本では揺れを感じない遠い場所の地震で、深夜の注意報発表ということで対応に迷われた方もいるのではないでしょうか?
専門家は、揺れを感じなくても大きな津波が押し寄せるケースがあるとして備えの重要性を呼びかけています。

2日午後11時37分ごろ、フィリピン付近で発生した地震で宮崎県を含む太平洋沿岸に津波注意報が発表されました。

気象庁によりますと、各地で津波を観測し、鹿児島県でも20センチを観測しましたが、県内では観測されませんでした。

京都大学防災研究所宮崎観測所の山下裕亮助教は、次にように指摘します。

(京都大学防災研究所宮崎観測所 山下裕亮助教)
「(宮崎にも)来てはいるはずなんですけれども、津波というのは、どこで観測してるかというと検潮所というところで観測している。そこのデータを見てみると、海はずっとまっ平らなわけではなくて、(海面は)日頃から上下している。それを超える津波は観測されなかったというところで、観測されたという情報が出てこなかったというふうに解釈しています」

津波注意報を受け、延岡市、日向市、高鍋町では、沿岸部の住民や海岸付近にいる人などを対象に避難指示が、門川町では高齢者等避難が発令されました。

その一方、避難情報を発令しない自治体もあって対応が分かれましたが、山下助教は、自分が住んでいる場所が安全かどうか、住民自らが把握しておくことが必要と話します。

(京都大学防災研究所宮崎観測所 山下裕亮助教)
「津波注意報は、ある意味、対応が難しいとは思います。結局、自分がいる場所がどういう場所なのかということを理解した上で、避難すべきかどうかを、行政からどうこうということよりは、そこにお住まいの皆さんが自分できちんと考える必要があると思います」

また、山下助教は、自分で住んでいるところで揺れを感じなかったり、揺れが小さかったりした場合でも、大きな津波が押し寄せることがあるとして注意を呼びかけています。

(京都大学防災研究所宮崎観測所 山下裕亮助教)
「今回の教訓として、津波には、その(地震の)揺れは全く関係ない。揺れは、震源、地震が起こった場所から近いか、遠いかの話。津波というのは、(震源が)近いか、遠いか関係なくやってくる。今回、津波注意報でしたが、津波警報だったり、大津波警報だったりしたら、これは間違いなく逃げてもらわないと困る」

(スタジオ)
大きな地震が起きたあとには、「1週間くらい注意してください」と気象庁がよく呼びかけますが、今回も同じで、特に2~3日は、色々なことが起こりやすいということで、再び、津波関連の情報が出る可能性もゼロではないということです。

山下助教は、「海外の地震なので、津波の到達までには少し時間がある。落ち着いて行動すれば、命を守ることができる」と話しています。