大分市と熊本市を結ぶ「中九州横断道路」の一部にある長さ4.8キロにおよぶ「滝室坂トンネル」が今年6月に貫通しました。今の道路にはドライバーに大きなストレスを与えている交通の“難所”があり、解消に向けて急ピッチで工事が進められています。

熊本県阿蘇市にある国道57号の滝室坂。約3キロ、標高差250メートルにおよび、急勾配とヘアピンカーブが続きます。このため、正面衝突や車両単独事故の割合が熊本県平均と比べて高く、約5割は凍結する冬の時期に多発していて、交通の難所とされています。

(トラック運転歴5年・安部豊さん)「反対車線にトレーラーが来ると、どうしても車線をはみ出しそうになるので結構気を遣う」

トラック運転歴5年の安部豊さんは毎週、大分市の会社から熊本県菊陽町の倉庫まで半導体関連の製造部品を運んでいます。安部さんが熊本までの運転で最も気を遣うと話すのが「滝室坂」で、相当なストレスとなっています。

(トラック運転歴5年・安部豊さん)「荷崩れしないような運転の仕方も必要になるので気を遣うポイントですね」

こうした中、中九州横断道路の一部として、長さ4.8キロの「滝室坂トンネル」を含む自動車専用道路の建設が進められています。

(安部記者)「山の麓に見えるのが現在工事中の『滝室坂トンネル』です。中九州道が開通すればドライバーを悩ませていた難所を一気にショートカットできるようになります」

トンネルは今年6月に貫通し、現在は急ピッチで舗装工事などが行われています。開通時期は未定です。

中九州横断道路は大分市と熊本市を結ぶ全長約120キロの高規格道路で、九州道の熊本北JCTから東九州道の大分宮河内ICに接続される計画。大分県内では朝地~竹田間、犬飼~竹田間が開通しています。現在は、竹田阿蘇道路、滝室坂道路、大津熊本道路が事業中で、残る区間も事業化に向けた検討が進められています。

熊本市まで全面開通すれば1時間半の短縮が見込まれ、物流だけにとどまらず、観光面でもチャンスが広がると期待されています。

(県観光誘致促進室・河室雄士さん)「熊本空港には台湾や韓国、香港からの直行便が就航しているので、沿線の竹田市や豊後大野市をはじめ、海外観光客にも受け入れられる観光素材があるので、中九州道開通によってチャンスは広がる」