国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウォッチは、中国国内でモスクの閉鎖や破壊が相次いでいるという報告書を発表しました。

報告書によりますと、イスラム教徒が多い甘粛省や寧夏回族自治区でモスクの統合や取り壊しが相次いでいて、モスクの数が大幅に減少しているということです。

また、モスクから「ドーム」や「ミナレット」と呼ばれる塔といったイスラム風の建築を取り除く工事が行われているとも指摘しています。

報告書では、寧夏で2014年に4203棟あったモスクのうち、400棟から500棟が閉鎖されていると推定。これまでモスクの閉鎖は新疆ウイグル自治区で主に行われていましたが、ほかの地域に広がっている可能性があるとしています。

こうした動きについて、ヒューマン・ライツ・ウォッチは「信教の自由の権利に違反している」ほか、「中国でイスラム教の信仰を抑制するための組織的な取り組みの一環」だと批判、「信教の自由を制限する規制を廃止すべきだ」としています。

中国政府は2015年に、信仰よりも中国共産党への忠誠を優先させる「宗教の中国化」を打ち出しており、宗教活動への取り締まりが強化されています。