80年以上前に岡山県矢掛町で採集された植物の標本が倉敷市で展示されています。自由研究のために当時の中学生と高校生が作った標本が博物館に寄贈されたもので、保存状態は概ね良く、昔の自然環境を今に伝える貴重な資料となっています。


(学芸員)「むこうにあるのはサギソウというラン科の植物の標本です。現在の岡山では限られた湿地でないと見ることが難しいのですが、当時はかなり普通に生えていたようです」

倉敷市立自然史博物館に展示されているのは矢掛町の田賀辰也さんから寄贈された植物標本です。

田賀さんの父親と叔父が80年以上前の1935年と1939年に夏休みの自由研究で採集・製作したものです。

ミズオオバコなど現在は絶滅危惧種に指定されているものや、湿地や草原に生える植物も多く含まれていることなどから、当時の自然環境を知ることができます。

(倉敷市立自然史博物館 鐵慎太朗学芸員)「現代と比べると湿った環境あるいは明るい環境が広く広がっていたんじゃないかと考えられます」

今回の展示は、寄贈された48点のうち11点がならびます。戦前に矢掛地区で採取された植物の標本はとても少なく、博物館に収蔵していたものは8点のみだったということです。

(倉敷市立自然史博物館 鐵慎太朗学芸員)「夏休みの宿題、自由研究、今でも作っている人は多いと思いますが、それで作られたものが時を経て貴重な標本になっている、そんなことも知ってもらえたらうれしいです」

80年以上前の中高生が手がけた植物標本の展示は、倉敷市立自然史博物館で12月10日まで行われています。