トラックのスピードランナーとマラソン五輪選手を擁する2チーム

JP日本郵政グループと第一生命グループの選手構成が似ている。両チームともトラックの代表が3区を任されそうだ。日本郵政は今年8月の世界陸上10000m7位の廣中で、一昨年は3区で区間賞、昨年も区間2位と全幅の信頼が置ける。第一生命は今年7月のアジア選手権10000m小海遥(20)が前回区間4位。2人とも競り合いやスピード勝負に打って付けの選手だ。

5区はマラソンランナーの出番。日本郵政は名古屋ウィメンズマラソン2位(日本勢トップ)の鈴木亜由子(32)が有力。第一生命はMGC優勝の鈴木優花が走るだろう。鈴木亜はMGCは苦手とする寒さも影響したのか12位に終わったが、練習はスピードの出る良い動きができていたという。鈴木優はMGCでは勝負どころまで“落ち着いた走り”をしたことが勝因になったが、駅伝では学生時代に見せた“ケンカ走法”で前半から攻めた走りをするだろう。

日本郵政は1区候補に前回区間6位の和田有菜(24)、2区候補に前回区間賞の太田琴菜(28)と19・20年の連覇時に2区を走った菅田雅香(22)がいる。1、2区の頑張り次第で廣中が3区で奪うリードが大きくなり、2強を慌てさせることができる。3年ぶりの優勝もあるだろう。

第一生命は大学女子駅伝のエース区間で何度も区間賞を取った関谷夏希(26)が、10000mで32分台を出し復調の兆しを見せている。新人の飛田凜香、19年1区区間5位の出水田眞紀(27)が本来の力を出せるようになれば、優勝争いに加わることができる。

注目の区間賞争い 大物ルーキーの山本は1区か2区か?

代表選手が次々に登場するクイーンズ駅伝は区間賞争いも面白くなる。
1区では資生堂と積水化学の2強が代表経験選手になるが、ダイハツも前回はマラソンで2年連続世界陸上代表の松田瑞生(28)を起用した。2年前に区間賞を取った岡本春美(25、ヤマダホールディングス)と、プリンセス駅伝1区区間賞の樺沢和佳奈(24、三井住友海上)も代表レベルの力がある。

2区は積水化学の卜部が、前回まで3年連続区間賞を取っている。今年は世界陸上ブダペスト1500m代表の後藤夢(23、ユニクロ)も参戦してくるだろう。だが2区の距離が3.3kmから4.2kmに変更されたことがどう影響するか。1500mが専門で今季は故障にも苦しめられた卜部が、積水化学のメンバー争いを勝ち抜くことができるかどうか。積水化学の大物新人の山本は1区が有力という声も聞くが、2区を任されたとすれば間違いなく区間賞候補だ。積水化学の4年連続区間賞と、この区間でリードする可能性が大きくなる。

3区は日本郵政の廣中、積水化学の新谷(または佐藤)、資生堂の高島(または一山)、第一生命の小海、ワコールの東京五輪10000m代表だった安藤友香(29)、ダイハツの世界陸上ブダペスト・マラソン代表だった加世田梨花(24)、天満屋の東京五輪マラソン代表だった前田穂南(27)ら、超豪華メンバーがエース区間区間賞のタイトルを争う。

そして5区は資生堂の五島、積水化学の楠(または新谷)、日本郵政の鈴木亜、第一生命の鈴木優と、この区間でも代表選手たちが激突する。エディオンのMGC3位だった細田あい(27)、ダイハツの15年世界陸上代表だった前田彩里(31)も5区の区間上位に入ってくるだろう。

今年のクイーンズ駅伝は代表経験選手同士の争いが白熱し、その走りが間違いなく優勝争いに影響する。

(TEXT by 寺田辰朗 /フリーライター)
※写真は左から新谷選手(積水化学)、廣中選手(JP日本郵政G)