介護の現場では、利用者が増える一方で、介護職の人手不足が深刻化。その課題をデジタル化で解決しようと試みる施設があります。
介護職離れの現状
熊本学園大学で行われた閉講式。
約30年続いてきた介護福祉士を養成する課程を、今年度いっぱいで取りやめました。
原因は入学希望者の減少。
式では現役の介護士から人手不足を嘆く声が聞かれました。
現役介護士「介護福祉士が足りない、ヘルパーさんがいない。ケアマネージャーも募集しても入ってくださいません」

この介護職離れに新たな取り組みが始まっています。
デジタル技術の活用へ
特別養護老人ホーム 輝祥苑 今村文典 施設長「人手が足りないのは間違いないわけで、外国人介護人材の導入もどんどん進められているけれど、それでまかなえるかというとなかなか難しい部分もある」

熊本市西区の特別養護老人ホームです。
施設の入居者は約60人、そのうちの15人が常時介護が必要な「要介護5」の利用者です。

施設として入居者の安全を確保するには、職員1人で入居者20人ほどをケアする時間帯もあり、これまで肉体的負担や精神的負担がかかっていました。

その課題を解決するためこの施設が用いたのが、新たな人材確保ではなく「デジタル技術」でした。
特別養護老人ホーム 輝祥苑 境佑太さん「こちらがうちで使っている見守りセンサーになります」

「見守りセンサー」は入居者の動きを赤外線で察知し、リアルタイムで職員のスマートフォンに通知する仕組みで、プライバシーにも配慮されています。

境さん「1人で動いて転倒される方が多いので、(以前は)15分おきに確認していたけど、見守りセンサーのおかげで『今は寝ているな』と確認できる。『動きそうだな』という時は(部屋に)行くことができて、とても助かっています」

このモニター機能は、職員の負担軽減だけではなく入居者にもメリットがあるといいいます。
境さん「ちょっとでもドアを開けただけで利用者が目を覚ましたりとか、不眠に繋がったりする人もいる。動画で確認することで安心して朝まで寝られるという生活が提供できる」
