■侍ジャパン強化合宿2日目(7日、宮崎)
「カーネクスト アジアプロ野球チャンピオンシップ 2023」(11月16~19日、東京ドーム)に向けての侍ジャパンの強化合宿2日目。未来の主砲候補・万波中正(23、北海道日本ハム)が大器の片鱗をみせつけた。フリー打撃では他の打者が柵越えゼロの中、実に10本もの柵越えを披露。井端弘和新監督(48)の前で最高のアピールとなった。
コンゴ出身の父と日本人の母を持ち、身長192cm体重96kgの恵まれた体格と類まれなる身体能力を活かした長打力が武器だ。その将来性を買われ、今年3月のWBCで侍ジャパンのサポートメンバーにも選出された万波。大会直前に行われた壮行試合に途中出場すると、チーム第1号の本塁打を放った。その姿をベンチで見ていたメジャーリーガーのダルビッシュ有(37)や大谷翔平(29)も手を叩き祝福。日本ハムの後輩の活躍を喜んだ。プロ5年目の今季はホームラン王まであと1本に迫る25本塁打を量産するなどキャリアハイを記録した。
「カメラ目線打法」で打撃開眼
昨シーズンまでは球の見極めに苦しんでいた万波。一体なぜ大きな飛躍を遂げることができたのか?その秘密はバッターボックスに入ったあと必ず行っている「ある動作」に隠されていた。それは「目線」。打席でバットを構える前にまず1塁側を見つめてから、そのままピッチャーを見るのだ。このルーティンの意図について本人に話を聞いた。
「ボールを見ようと投手を見ようとすると、顔がどんどん前に前に突っ込んでいっちゃうので、決まった場所にいつも目線を合わせてから前を向くことでなるべく頭が突っ込まないように」
ピッチャーを見る前に毎回、同じ一塁側を見ることによって体のブレをなくして、安定したフォームでスイングができるようになったというのだ。そして、万波が視線を向ける先には奇遇にも中継のカメラがあった。「テレビ越しに目線が合っている」という声が多いため「カメラ目線打法」と命名されている。
「カメラ目線」で覚醒した万波のバッティングを見た井端監督は「本塁打はパ・リーグ2位の実績も十分だし、本人と話をして好きな打順を打たせる。今日の打球スピードのデータを見ていても村上宗隆(23、ヤクルト)に匹敵するぐらいの数値を出していた」と大きな期待を寄せている。
今月16日(木)から始まるアジアプロ野球チャンピオンシップ。井端監督の初陣に向けて万波も照準を合わせている。
「今日の全体練習でのバッティングはまずまずだったでしたけど、まだまだです。実戦から日にちが空いているので早くピッチャーの球に慣れることが大事。監督に信頼してもらって中軸で使ってもらえるようにいいキャンプにしたい」
大いなる可能性を秘めた23歳・万波中正が「カメラ目線打法」で侍ジャパンの打撃を牽引する。
■万波中正(まんなみ・ちゅうせい)
2000年4月7日生まれ、東京都練馬区出身。横浜高校では3年連続で夏の甲子園出場
2018年、ドラフト4位で日本ハムに入団。プロ5年目の今季は自己最多25本塁打、打率.265
【侍ジャパン日程】
11月6日~13日 強化合宿 @宮崎
■カーネクスト アジアプロ野球チャンピオンシップ 2023
11月16日 台湾vs日本 @東京ドーム 19:00
11月17日 日本vs韓国 @東京ドーム 19:00
11月18日 オーストラリアvs日本 @東京ドーム 12:00
11月19日 3位決定戦・決勝