福岡市西区の人里近くで、キツネが目撃されました。映像では犬のようにも見えますが、立派な尻尾。福岡市では別の場所でもキツネ目撃情報があり、専門家は「野生のキツネが人里におりてくることは珍しい」と話しています。



◆福岡市の山沿いで目撃相次ぐ


キツネが現れたのは、福岡市西区の山沿いにある金武地区。遠くに福岡タワーも見ることができる高台で、すぐ近くには閑静な住宅街も広がっています。キツネと遭遇したのは、近くに住む40代の女性でした。

動画を撮影した女性「最初はヒョコっと顔を出して、ちょっと行っては振り返って、向こうにチョコチョコっと行くような感じ。最初は犬かなと思いましたが、尻尾がフワフワしていて、きれいなんです。まさかこんな所にキツネがいると思わないから、すごくびっくりしました」

さらに毎日犬の散歩をしているという人からも、目撃情報が――。

女性「時々見かけます。「あ、通ったな」と。(目撃するのは)これくらいのちょうどいい気候の時。朝見たり。ちょっと前は、夕方見たりしました。タヌキやアナグマみたいな動物はけっこうな頻度で見ますが、キツネは(そこまで)あまり見ないかも」


◆10キロ離れた沿岸部でも目撃


一方、沿岸部の福岡市西区田尻でもキツネが目撃されていました。

池松伸也さん「鳴き声が、犬にしてはちょっと甲高いと言うか、ちょっと変わった鳴き声だなあと思っていた」

7月の早朝。朝日を撮影するために波止場を訪れた際、近くの資材置き場から聞こえてきたのが、変わった鳴き声の動物でした。

キツネ「ワン!」

池松伸也さん「しっかり見てみたら、尻尾も長いし、キツネだと思いました。吠えながら追いかけてきたんですよ。威かくですね。その時期、子育てをしていたんじゃないでしょうかね」


◆白い毛並み……ホンドギツネか


福岡市で目撃された2匹のキツネ。福岡市動植物園で動画を見てもらうと、


動物相談員「これは…! 尻尾がフサフサしていて先が白くて、鼻も長くて耳が大きいので、ホンドギツネ。山の中にいるのですが、人の行動範囲には入らないようにすると思うのですけど」

福岡市動植物園によると、ホンドギツネは九州や四国、本州に生息していて、尻尾が大きく、首から胴にかけて白い毛並みになっていることが特徴。鳴き声について聞いてみると――。

「“コンコン”のイメージがありますが、“ワン”に近い声で鳴くんです。“ワンワン”という鳴き声がするので犬だと思って飼っていたら、実はキツネだったという話を聞いたことがあります」

福岡県保健環境研究所によると、ホンドギツネは準絶滅危惧種に指定されていて、基本的に山の中に生息しているため、今回のように人里におりてくるのは、非常に珍しいということです。

動物相談員「山間のところでは(タヌキなど)ほかの動物を見ることがあっても、きつねはあまりみかけたことがない、と聞いています。珍しいかもしれないですね」


◆エサ求め? 親離れ?


2匹のキツネが目撃されたのは同じ福岡市西区内ですが、直線距離で10キロほど離れていて、見た目からも別のキツネと思われます。ただどちらも、人が行き来するような場所で目撃されています。

福岡県保健環境研究所でも「正確なことは分からない」とした上で、人里におりてくる理由として「田畑のミミズなどエサを求めておりてくる」ことのほか、「親離れの分散の時期で、誤って人里におりてきてしまった」などの可能性があるということです。

つい近寄りたくなる方もいるかもしれませんが、野生のキツネの体にはノミやダニ、寄生虫がいて、注意が必要だということです。