イスラム組織ハマスによる攻撃では、タイからイスラエルに渡った多くの移民労働者も犠牲になっていますが、今も危険な紛争地から退避できない人が少なくありません。支援団体は、イスラエルの雇用者による人権侵害が起きていると指摘しています。
先週、イスラエルからタイの空港に運ばれた8人の遺体。パレスチナ自治区ガザを実効支配するハマスの攻撃で亡くなったタイの出稼ぎ労働者たちです。
タイ政府の最新の発表によると、タイ人の死者は33人に上り、54人がハマスの人質となっているということです。
犠牲者の一人、アーナン・ペッゲーオさんの親族は…
アーナンさんの親族の女性
「とてもショックです。ハマスはイスラエル人や関係のない外国人までみんなを殺しました」
アーナンさんは、3年ほど前にイスラエルに渡り、ガザとの境界近くにある農場で働いていました。地元の農村部よりも多くの収入が得られる環境で家族を養うため、懸命に仕事をしていたといいます。
アーナンさんの親族の女性
「彼は母親にとって自慢の息子でした。責任感が強くて、稼いだお金を家族に仕送りしていました」
イスラエルにいるタイからの移民労働者はおよそ3万人。その始まりは1990年代に遡り、パレスチナとの衝突の歴史とも深く関わっています。
イスラエルの移民労働者支援団体
「(90年代に)テロや軍事衝突が多発したため、もともとイスラエルの農場などで働いていたパレスチナ人労働者は仕事ができなくなった」
イスラエルで移民労働者を支援するNPOの担当者は、イスラエルがパレスチナ人労働者への依存を解消させる代わりに、タイなどから経済的に苦しい人たちを呼び込むようになったといいます。
イスラエルの移民労働者支援団体
「タイからの移民労働者がいなければ、イスラエルでは牛乳や野菜など、あらゆるものが手に入らなくなったのです」
イスラエルとハマスの戦闘によって、これまでに4000人余りのタイ人が帰国していますが、雇用主からの圧力で仕事を続けるよう強制されている人も多く、支援団体は「人権侵害にあたる」と指摘します。
イスラエルの移民労働者支援団体
「タイ人労働者らは雇用主からパスポートを返してもらえなかったり、帰国すれば、給料を支払わないと言われたりしている。タイ人労働者には頼れる人がおらず、助けを求めることもできないのです」
こうした事態を受け、タイのセター首相はイスラエル側に対し、タイ人労働者が引き留められることがないよう対応を求め、イスラエル大使館は声明で、「タイ人労働者の公正な待遇を確保するために最善を尽くす」としています。
危険な紛争地で働くタイ人労働者の人権問題は、過去にも国際人権団体などがたびたび指摘しており、今回の戦闘で改めて浮き彫りとなった形です。
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