11年前に長崎県対馬市の寺から盗まれ、韓国に持ち込まれた仏像の所有権をめぐり、韓国の最高裁は対馬市の寺に所有権があるという判決を出しました。

2012年に対馬市の観音寺から盗まれた、長崎県の有形文化財「観世音菩薩坐像」をめぐっては、韓国の浮石寺が「中世に日本の海賊=倭寇が強奪したものだ」として、本来の所有権を主張しています。

裁判は3審まで争われましたが、最高裁はきょうの判決で、「観音寺が所有権を取得したとみなすことができる」と判断。浮石寺の訴えを退けました。

浮石寺の僧侶
「野蛮な判決だ。私たちはこの判決を認めることができない」

長年にわたって続いた仏像の所有権をめぐる裁判は、今回で判決が確定することになります。

判決を受けて、仏像の所有権が認められた観音寺の田中節竜住職は、一刻も早い返還を求めました。

観音寺 田中節竜 住職
「地域の方が何百年にわたって大切におまつりしてきた仏様ですので、それ(判決)は当然のことだなと思ってます。早期返還を求めていきたいですね」

韓国外務省報道官
「今回の事案に対する最高裁の判決を尊重します」

一方、韓国外務省はこのように表明した上で、仏像の返還手続などについては「関連法令に従って関連機関で決定していく」と説明しました。

現在、韓国中部・大田の国立文化財研究院に保管されている仏像は外交当局間の協議などを経て日本に戻ってくることになります。