大ヒット映画の駅伝版に
ベアーズのプリンセス駅伝オーダーは以下の通り。
1区(7.0km)坂本奈穂
2区(3.6km)山﨑 空
3区(10.7km)向井優香
4区(3.8km)松井沙樹
5区(10.4km)上野璃々花
6区(6.695km)須田笑瑠萌
山﨑は高校では9分59秒22が3000mのベストで、全国大会には出場できなかった。松井は学卒選手で学生時代に5000mの16分40秒30を出しているが、日本インカレ1500mは予選落ち、日本学生ハーフマラソンは51位だった。上野は駅伝に力を入れている高校の出身だが、個人種目の全国大会での活躍はなく、卒業後は1年間専門学校に通っていた。
「シスメックスでも第一生命グループでもそうでしたが、レベルに関係なく、まじめにやれば記録は伸びます。時間はかかるかもしれませんが、5000mの15分台、3000mの9分20秒台には持って行ける。大きな目標は世界で戦う選手を育てること。そこへの第一歩です」。
ベアーズは高校、大学では無名だった選手ばかりだが、向井優香(24)は例外だ。広島県世羅高2年時の活躍は素晴らしかった。5000mで15分31秒92と高校歴代10位をマーク。3000mで世界ユース選手権(現U18世界陸上)5位、インターハイ3位。全国高校駅伝ではアンカーの5区で区間賞、3人を抜いて優勝テープを切った。
だが第一生命グループ入社後は故障に苦しみ、4シーズン在籍したが出場試合自体が数えるほどだった。2年ほどOL生活を送っていたが、高柳監督に誘われベアーズの練習を見学し、現役復帰を決断した。昨年秋にベアーズに入社。今年9月の日体大長距離競技会5000mで16分08秒89をマークした。まだ自己記録との差はあるが、高校卒業後の自己最高だった。
「フォームが自然と前傾して、リズム良く走ることができる選手です。骨密度や血液状態も良い。キツくなっても粘ることができる身体とメンタルを持っています。(シスメックスでサポートしたアテネ五輪マラソン金メダルの)野口みずきさんに近いものを感じます。マラソンにトライして、28年のオリンピックを狙って欲しい」。
プリンセス駅伝で向井は3区に出場する。一度は走ることをあきらめた選手が本格復帰するには、打って付けの舞台だ。
ベアーズの社名は、70年代に大ヒットした米国映画「がんばれ!ベアーズ」にちなんで名付けられたという。弱小少年野球チームの「ベアーズ」を、かつてマイナーリーグで活躍していた人物が率いて、奮闘しながら勝ち抜いていく映画だ。
大企業揃いの実業団駅伝の世界で、ベアーズは正社員が約200人の会社である。駅伝の「がんばれ!ベアーズ」も見逃せない。
(TEXT by 寺田辰朗 /フリーライター)














