富山市の田んぼが広がる郊外。17日夜、住宅の敷地内でクマに襲われたとみられる79歳の女性が亡くなり、周辺では多数のクマの痕跡が見つかっていて、周辺では警戒が続いています。そんな中、亡くなった女性の遺族が取材に応じ、「この死を無駄にしないようにしていただきたい」と胸の内を明かしました。

人身被害があった現場から北西に2キロほど離れた富山市の熊野小学校では、19日朝も保護者が児童を送迎する姿がみられました。
保護者:「(クマが)早く山に帰ってくれればね」
保護者:「今まで以上に危険と感じている。
来週は生活発表会があるので
早く元通りの生活になればいいなと思います」
また、児童の登校時間に合わせて、警察がパトロールするなど警戒が続いています。

17日夜、田んぼが広がる富山市の郊外で発生した、クマによるものとみられる人身被害。住宅の敷地内で、この家に住む江崎三千子さん(79)が死亡しているのがみつかり、死因は成獣のクマに顔や首をひっかかれたことによる出血性ショックとみられています。
この地域ではクマの目撃情報が相次いでいて、現場周辺にはあちこちにクマのものとみられる足跡が残っていました。市や警察、猟友会はパトロールを強化、ドローンを使った捜索も行っていますが、クマは見つかっていません。
そんな中、亡くなった女性の遺族が19日、取材に応じ、心境を明かしました。
女性の遺族:
「死亡者が出たということでパトロールが続いていますが、
周辺には小さい子も住んでいます。
2番目、3番目の被害者が出ないよう、
この死を無駄にしないようにしていただきたいです。
その思いだけです」

こうした状況を受け、県はことし2回目の緊急会議を開きました。会議では警察が当面の間、現場付近のパトロールの強化を続けるといった報告がされたほか、県が高齢者向けに初めてラジオなどでの注意喚起を呼びかけていくことなどが報告されました。
また、現場周辺にはまだクマが周辺の屋敷林に潜んでいる可能性があることから、県は家屋への侵入を防ぐため、住宅・倉庫・車庫の戸締りの徹底のほか、クマが活発に活動する朝夕は極力外出を控えるよう呼びかけています。

自然博物園ねいの里・赤座久明さん
「クマが特に夜ですね。
集落の中を歩き回っている可能性があるので
それを意識しながら、できたら車での移動、
それから複数人での移動、
そうしたことに気をつけていただければと思います」