10月15日にMGC(マラソン・グランドチャンピオンシップ)が東京・国立競技場を発着点とする42.195kmのコースで開催される。東京五輪前の19年に始まった、上位2選手が翌年の五輪代表に決定する選考システムだ。以前のような複数の選考会から代表が選ばれるのでなく、一発勝負的な要素が強い。4年前がそうだったように、火花が散るような激しいレースが期待できる。
そのMGCに出場する男子有力選手の特徴を紹介していく。1人目は東京五輪6位入賞者の大迫傑(32、ナイキ)で、勝負強さが際立っている選手だ。

■大迫傑プロフィールと成績
1991年5月23日生まれ 金井中(東京)~佐久長聖高(長野)~早稲田大

【マラソン全成績(カッコ内は日本人順位)】
▼2017年4月17日
 ボストン3位(1位)2.10.28.
▼2017年12月3日
 福岡国際3位(1位)2.07.19.
▼2018年10月7日
 シカゴ3位(1位)2.05.50.=日本新
▼2019年3月3日
 東京 途中棄権
▼2019年9月15日
 MGC3位(3位)2.11.41.
▼2019年12月8日
 ホノルル6位(1位)2.17.30.
▼2020年1月24日
 ドバイ 途中棄権
▼2020年3月1日
 東京4位(1位)2.05.29.=日本新
▼2021年8月8日
 東京五輪6位(1位)2.10.41. ※札幌開催
▼2022年10月9日
 シカゴ 途中棄権
▼2022年11月6日
 ニューヨークシティ5位(1位)2.11.31.
▼2023年3月5日
 東京9位(3位)2.06.13.

世界トップ選手と戦い続けてきた大迫

勝負強さはマラソンの戦績から一目瞭然だ。東京五輪6位入賞だけでなく、完走9レース中7レースで日本人1位を占めている。強さイコール、どんなレースでも自身の最大パフォーマンスに近い力を発揮することだ。

初マラソンの17年ボストンは大迫も手探り状態で臨んだが、2時間6分台の記録を持ち、その年の世界陸上金メダリストとなるG.キルイ(30、ケニア)に49秒差の3位は高く評価できた。
2度目の17年福岡国際も3位。優勝したS.N.モーエン(32、ノルウェー)に2時間05分48秒のヨーロッパ新記録で走られては、当時の大迫ではどうしようもなかった。また2位のS.キプロティッチ(34、ケニア)は、12年ロンドン五輪と13年世界陸上モスクワ大会の金メダリストだった。

そして3度目の18年シカゴで日本記録(当時)を出した。そのときも3位だったが、優勝したM.ファラー(英国)はトラックの5000m、10000mで12年ロンドン&16年リオと連続五輪2冠の選手で、世界陸上でも6個の金メダルを取った選手。2位のM.ゲレメウ(31、エチオピア)は世界陸上で19年ドーハ、22年オレゴンと2大会連続銀メダル、19年には2時間02分55秒のタイムをマークする選手だった。

大迫のマラソン歴に優勝がないのは、必ず世界のトップ選手たちに勝負を挑んで来たからだ。これだけのメンバーの中で3位に入り続けられたのは、大迫自身が世界レベルだったことを実証している。