10月4日は当時の厚生省が定めた「里親の日」です。
家族と一緒に暮らせなくなった子どもは、9月1日時点で山口県内に437人います。さまざまな背景を持つ子どもたちを保護者に代わって育てる里親の現状を取材しました。

「お父さんお母さんのもとで育ってよかったと言われることを夢見て」子どもを預かる里親

里親のサポートを行う民間の団体「れりーふ」。
センター長の小林さんは里親のメリットに、子ども1人1人に応じた養育ができることをあげました。

里親養育サポートセンターれりーふ 小林有・センター長
「やはり子どもそれぞれに、個別的なケアを行うという意味では。大変子どもにとっては望ましいものだと思っております」

里親のもとではどのような生活をしているのか、小林さんと防府市内の里親のもとを訪れました。吉村辰徳さん・理加さん夫婦が、里親として登録したのは2021年8月。現在6歳の女の子と4歳の男の子のきょうだいを育てています。

吉村辰徳さん
「最初はやっぱり大泣きして、この大泣きはいつまで続くんだろうとかすごくそれを思いました。やっぱり、なんていうか信頼関係といいますか、お互いが心の距離が近づくまではすごく気も使ったし心も使ったし」

吉村理加さん
「けっこう物にあたったり、するんですよね。やっぱり、イライラ子どももすると。そういうことでも『しちゃいけないよ』とかって『物に対してごめんなさい』言いなさいっていう風には言うようにしてます」

夫婦2人の生活から子ども中心の生活へ。子育て経験のない中での食事や遊び、教育と、試行錯誤や苦労もありましたが、喜びも大きかったといいます。

記者「これを渡されてどう思った?」
理加さん「これをですか?うれしかったですね」

里親といってもさまざまな形があり、吉村さん夫婦は、一時的に子どもを養育する「養育里親」として児童相談所から子どもを委託されました。

吉村さん
「このピアノはうちの僕の実家が余ってるからっていって使ってくれということでいただいて、これ1番上の女の子は毎日ピアノ弾いてます。このあたりがお姉ちゃんのおもちゃで、ここが弟君のおもちゃですね。本当にご近所のかたとか周りのかたから頂いた物ばかりで本当にありがたいなと思いますし、思いを、たくさんのかたから思いをかけてもらっている子どもたちも幸せだろうなというのもこのおもちゃを通して感じることができます」

服なども、まわりの人々から支援してもらいました。

児童相談所からは、「長い委託となる可能性もある」と言われていて、夫婦は愛情と覚悟を持って子どもたちと暮らしています。

吉村さん
「2人で言ってるのは、早かれ遅かれ、ひょっとしたら一生かもしれないっていう中で、僕たちのことをお父さん、お母さんって呼んでもらってるんですけど、このお父さん、お母さんのもとで育ってよかったって2人が最後言ってくれるってことを夢見て、今里親を受けさせてもらっています」

理加さん
「いつここを委託解除、親元に帰るか分からないですけれども、帰ってからでもここへ遊びに来たいって思えるようになってほしいかなって、それはおかしな答えかもしれないんですけど」