復興を、アートの力で後押しします。8月の台風7号の影響で大きな被害を受けた岡山県鏡野町の奥津温泉で、芸術祭が始まりました。

およそ400枚の「てぬぐいアート」が秋晴れの空にはためきます。
美作三湯の一つ、奥津温泉をメイン会場とした「OKUTSU芸術祭」です。

2019年から始まって、今年で5回目。岡山県北ゆかりの作家や子どもたちの作品が古き良き温泉街を彩っています。

(観光客)
「活気があっていいんじゃないでしょうか。12月まであるらしいのでまた来てみたい」

奥津温泉の関係者にとって、今年の芸術祭には特別な思いがありました。

(奥津荘 鈴木治彦社長)
「地域としては、まだまだ爪痕が残っている所もありますので、ぜひそういった意味でも『奥津温泉を応援しよう』という気持ちでお越しいただければありがたい」

8月15日、台風7号の影響で線状降水帯が発生し、鏡野町恩原で一日の降水量が観測史上最大となる530・5ミリを記録しました。

この影響で、吉井川が増水し奥津温泉の名物である「足踏み洗濯場」が浸水するなど、温泉街に甚大な被害をもたらしました。

(奥津荘 甲元浩文さん)
「ここにランプがありますけど、ランプのあたりまで水が入ってきておりました」

老舗旅館の奥津荘も、3つの浴室がある地下1階部分が冠水。土砂の撤去や傷んだ床・壁紙の張り替えなど復旧作業は1か月に及びました。

(奥津荘 鈴木治彦社長)
「コロナの時もそうでしたけれども、またあらためて普段通り営業できることへのありがたさ、幸せ、そういったことを感じながら、9月14日の営業再開を迎えました」

開催できる喜びを噛みしめる、今年の芸術祭。奥津荘では、宿泊者専用のカフェを鏡野町在住の作家・上野沙織さんの個展会場として無料開放しています。アーティストたちも、復興への思いを抱いています。

(鏡野町在住の作家 上野沙織さん)
「奥津の川の増水を見た時に、この先どうなるんだろうという心配は大きかったです」

「ここのパワーになれたらいいなと。県外からも知り合いを呼んで十分楽しめるイベントにできたらなという思いはあります」

コロナによる客足の減少、そして今年夏の台風被害。数々の試練を乗り越えてきた奥津温泉の復興を、アートの力で後押しする「OKUTSU芸術祭」です。